呪②

 家に帰った私は早速、日記帳を取り出し眺めていた。

『やっぱり買って良かった。五百円なんて安すぎるよ~これから何書こう……』

 表紙の滑らかな手触りを楽しみながら、まだ何も書かれていないページをパラパラと捲る。と、一番最後の表紙の裏側に何かを書いて消された様な跡が在った。

『アンティークだから仕方無いか。何かシールでも貼れば大丈夫……』

 机の引き出しから犬のシールを出してペタリと貼った。

『コレで大丈夫。ちょっと似合わないけどいいよね。何書こうかな?』

 まず、日記帳を手に入れた所から書く事にした。



※※※

 四月二十五日(晴れ)

今日、学校の帰りに新しくオープンした、アンティークSHOPで素敵な日記帳を買った。

カッコイイお店のオーナーが五百円にオマケしてくれてラッキー。

※※※


『ま、最初はこんなもんだよね』

 日記帳を閉じて私はオヤツを食べに部屋を出て行った。




 誰も居ない部屋の机の上にある日記帳が、風も無いのにパラパラと捲れ、書き込まれた次の日の欄にペンだけが書き綴る……



✗✗✗

 四月二六日(雨)

昨日の天気が嘘の様に、今日は雨が強く降っている。

学校で数学のタナピーに指された。

もう、最悪……朝から犬のウンチを踏むやら、踏んだり蹴ったりだ。

✗✗✗



 ペンの動きが止まり、コロンと転がる。日記帳がパタンと閉じられ、後には静寂が戻った……

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る