学ばない僕と変われない彼女

ミックスグリル

第1話 真紅の350ml缶

 甘くてまずいなー

これで何度目だろうか。

深紅の350ml缶こと、ドクターペッパーを片手に持ちながらのろのろ歩く。

いつも不味いって思ってるのに、また買ってしまう。実は僕は学習能力ゼロだろうか。別にテストの点はそんなに悪くなかったはずなのだが、えっとー確か俺より下に16人はいたはずだ。うん。悪いかな…まぁいいや。

「また飲んでるじゃん。」

友達の佐々木が声をかけてくる。


「あぁー。俺これ苦手なんだけどさ、佐々木いる?」


「苦手なら買わなきゃいいのにってこのセリフも何度目よ。はぁー。学ぼうよー。

 まあ、タダならもらうけど。」


そう言って佐々木は真っ赤なやつをごくごくと飲み込んでいく。と思ったらめちゃくちゃ咽せてる。炭酸苦手なら無理して飲まなきゃいいのに。いつも思う。これも何度目かね。


「ぷはぁー。

こいつ甘ったるいのよね。科学的な甘さが気に食わないわ。」


「だよねー。」


「だよねー。じゃない!そう思うなら今度から別の買いなよ。」


そうしたいんだけどねぇ。

例の赤い缶に関しては、数年前くらいが懐かしくて買ってしまう発作みたいなものだ。


「なんか買っちゃうんだよね。」


「変な癖ね。もしかして、自傷行為が好きなの?蹴り飛ばしてあげようか?にこにこ。」


「いやぁーここでお亡くなりになると昨日のランチの高級海鮮丼のみなさんに合わせる顔がないので遠慮します。」


まあ会う機会もないけど…

死んだらそれまでですしねーと思いつつ、それとなく晩御飯自慢も練り合わせた返答で攻撃してみた。こうかはいまひとつのようだ。


「そういえば、佐々木って今日部活じゃないの?」


確かなんとか部に入っていたはずだ。

何部だったかな。聞くと呆れられそうだから黙っておくか。

 

「今日は休みよ。ってかサークルって言いなさいよ。

そんな野球少年のイメージ違うわ。」


「佐々木が大人ぶってるだけでしょ?

背が高いから大人ぶる必要ないのに。」


「あんたの大人の基準が分からんわ。

あと背が高いのはコンプレックスなんだから。そんなに言わないでよ。」


ついでに栄養がそちら側に偏ってる影響で立派なまな板さんだったりもする。

とか脳内で言ってたら殴られた。


「あんた今失礼なこと考えたでしょ?」


「いや、全然違うって。

ただ料理とか得意そうだなって…主に食材を切るのが。」


「誰がまな板じゃあ!」


「ひぇぁぇ!」


閑話休題。


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