乙女ゲームの悪役令嬢になったので、異世界エンジョイしながら新規事業を立ち上げたいと思います

紫泉 翠

第1話 なんか転生したっぽいです

 はぁ、今日も今日とて嫌だなぁ。というか!今まで史上最悪の一日ですけども!!!!

 こういう日は、やけ食いならぬ、やけ吞みをするのが一番!

 そんなお供には……

 ぜひこのゲーム!私が推しに推している乙女ゲーム【ときめき・ロイヤルロード】!

 もうほんとにこれいいのよぉ。

 特に、この悪役令嬢様が……。


 ゴン!!!!!!!!


 ……。

『あぁああぁ。どうも飲み過ぎたようだ。昨夜の記憶がない。』

 と頭の中でもう反省している。

 そういや、まだ自己紹介とかしてなかったっけ?

 えーと、新木 彩華あらき いろはといいます。

 某貿易系会社の経営コンサルタントをしているただのOLです。一応アラサー手前。

 好きなことは晩酌と乙女ゲームをプレイすることになっております。

 寝ぼけているので、少し言葉が変だ。まぁ、許してください。


 昨日ほぼ初めてっていう規模で失態をしてしまって、上司にすごく当たられましてね。もともと私、顔が少しきつめですし、一人でできることは自分で解決しようとするから社長さんにとっては目の上のたんこぶだったのかも。

 それでひどく当たられまして、私はその対応にムカついて、ついつい、いつもよりお酒の量が増えてしまった。今も少し頭が痛い。

 そういや、今日も平日じゃん。仕事行かないと…。


 今何時だ?えーっと、スマホは……。

 とフカフカでいつもより重めの毛布に入ったまま、右往左往の方向に手を弄る。

 うーん?あれ?どこ行った?

 いつもなら、ベットの隣にあるチェストに置いてるんだけどな?

 昨日記憶がリビングで止まっているからな。

 そういや、酔った勢いで机に顔面強打してたっけ。

 もしかしたら、リビングにおきっぱになってるかな?確かめに行ってくるか。


 よいしょっと。


 そういや、このベッドいつものよりふわっふわで上等なように感じるんだけど?

 それに、部屋全体がきらきら光って見えるし。というかシャンデリアかかってない?

 私まだ寝ぼけてる?ちょっと顔叩いてみるか。


 バシィッ!!!!


 いったぁ……。思い切り叩きすぎたかな?

 にしても、光景変わらず。

 ってココどこ!?


 私のマンションの寝室は約6畳ほど……。だったはず、でそれを鑑みたら今いる部屋は約三倍ほど?一部屋がリビングくらいの大きさになってしまったけど。

 部屋の様子から見るに、洋風の感じ。装飾品の類からして結構な大金持ち系かな?


 うーん、にしてもなんか頭部が重たい?

 何で?と思ったら髪が伸びてる?

 昨晩までは茶髪のボブだったのに、今は立ったら腰ほどまであるのであろう紫色のロングヘアーになっていた。


 おう、昨晩何があった私?

 お酒の影響でまだ酔っているとかってわけではないだろうし、怒られた影響で髪色変えたとしても、長さはどうにもならんだろうし。

 ……どうなっている?


 一つ脳内にありえなさそうなワードが浮かび上がってきた。

 それは【異世界転生】。

 うん、本当なら絶対あり得ないよ、これ。

 でも、たぶんそうだよね。そうとしか言いようがなくないか?


 だとしたら、今私は誰になっている?何のゲーム、もしくは小説の世界?


 分からない。髪色だけで判断しろと言われても無理だと思うよ。

 この部屋にはなんでか知らないけど鏡の類ないし。


 何で小説や漫画の中の転生人たちは、直ぐに自分のなったキャラクターや立ち位置が分かるの?

 この状態で得られた情報少ないと思うんですけど。

 一旦整理してみよう。


 その1 なんか転生していた=現世で死亡した

 その2 転生先は洋風ぽい

 その3 その上で大金持ちの令嬢のよう

 その4 髪が紫色のロング


 うん、情報少ないね。

 小説の世界とかなら、ここで侍女とかが登場して状況把握だったりするんだろうな。

 うんうんうん。来ないの侍女?

 もしかして、令嬢とかじゃない?いじめられキャラ?

 そんなことを悶々と考えていた、その時。


 ―コンコンー


 控えめなノック音が聞こえてきた。

 多分侍女さんが来たんだな。これで少しは情報得られるはず。得られないと泣く。



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