響かないよ、フルート！？ ～吹コン？なにそれ、食べられるの？〜

第1話 え、音楽研究会!?

　私は吹奏楽が大好きなフルート吹き。

県内の吹奏楽コンクール強豪校の埼玉県立ｔ高校にこの春から入学する。

　モチロン目標は吹奏楽コンクールで全国大会に出場して金賞をとること！

　これを目指さない吹奏楽部があるだろうか。楽器を手にする人なら誰もが夢見る輝かしい舞台。

　(私の華々しい高校生活が今始まるのです!!)

　入学式で私達を歓迎するように奏でられる入場曲、ローストの[アルセナール]、、、音符の縦も音程もピッタリと揃っていて、本当に素晴らしい演奏に私はすでに胸がいっぱいになっていた。

　すでに吹奏楽部への入部を決めていたわたし。しかし、衝撃の事件が起きる。それは集会で一年生に向けての部活紹介を体育館で行ったときだった。

　運動部の先輩たちがコントやギャグで笑わせに来るなか、吹奏楽部は若者の中で流行っている曲を演奏していた。

　その演奏が良かったのも束の間。その直後に再び吹奏楽部とは別の音楽研究会なる６人が楽器を持って舞台の上に立つ。

ドラム(男)、コントラバス(女)、テナーサックス(女)、トランペット(男)、トロンボーン(男)、フルート(男)、、、

　ジャズだった。

　菅野よう子の[Tank!]だ。

　音程やリズムはメチャクチャながら、素人なりにカッコいい演奏だった。

　私が何より驚いたのがフルート。

　今まで聴いた学生奏者で一番上手かった。

　運動部の先輩たちはみんな立ち上がって、腕を掲げてノリノリだった。

　フルートを吹く男の先輩は遠目ながらイケメンで、私は一瞬で恋に落ちた。