第82話 アジア大会②

 俺たち安全エリアの中へと移動する。


「ここはエリア内だな」

「だね」


 画面の左上には残りの敵の人数が表示されている。

先ほどより6人減っている。


 安全エリアの収縮により敵に遭遇する確率も上がっているのだ。


「あと、14人か……」


 プレイヤーの数は着々と減ってきている。


 ただ、世界大会への切符がかかっている試合なので誰もが慎重になっている。

俺たちもいつもよりは守りに入っていると思う。


「少し長期戦になるかもな」

「それな」


 そして、間も無く安全エリアの収縮が始まる時間だ。


「次の収縮でここも安全エリアからは外れるし、移動するか」

「おっけ」


 着々と安全エリアの収縮が始まっていた。

エリアが狭くなるということは、それだけ敵と遭遇する確率も上がるということである。


 俺たちは安全エリアに入る為に移動をしていく。

クリアリングしながら進む。


「ストップ!」


 俺の目には敵のプレイヤーの姿が映った。


「射線切ったほうがいい」

「了解」


 俺の言葉に莉央はすぐに反応する。

その反射神経はさすがである。


「220のマンション見える?」

「あの並んでるやつ?」

「その屋上に二人いる」

「すごい、よく見えたね」


 屋上に二人周りを警戒している影が見えた。


 俺は射線を切りつつ、スナイパーに切り替える。

そして、スコープを覗き込む。


「ギリギリあれだと抜けないな」


 敵の方も射線を切っている。

こちらに気づかれたのか。


「顔出してくれー」


 そして、俺は敵が立った瞬間に俺はスナイパーライフルを発砲する。

弾丸は頭に命中する。


「1人やった。気絶」

「ナイスー!」


 1人倒すと、同様したのかもう1人が蘇生しようとして、頭を出してくれる。

そこには完全に隙が生まれている。


 もう一発スナイパーを発砲する。


「すまん外した。でも結構食らったと思う」


 銃弾頭からは外れてしまったが、胴体には当たってるので相当痛いダメージを負っているはずだ。


「了解! 詰めるね」

「おっけ、フォローするわ」


 莉央がアサルトを構えて、ガンガン詰めていく。

この攻めの姿勢が莉央の強みであろう。


 俺は再びスナイパーを構えた。


 しかし、すぐに莉央のアサルトの銃声が響く。


「やりました! 二人ともです!」

「ナイスー!」


 俺はスナイパーのスコープから目を離す。


「今の所いい感じだな」

「ですね。でも、ここからが大変そうですね」


 現状、確キルまで持って行くことができている。

敵にこっちの場所がバレていなければ比較的有利に戦いを進めることができる。


 左上に表示されている敵の数は12となっていた。

随分と一気に減ったものである。


「この辺にはもう居ないみたいだし、移動するか」

「そうだね。攻めていこう!」


 この状況下であまりひとつの所に留まるのもよくない。


【元世界大会優勝者とかチートだろ】

【もう、優勝ペア決まったことね?】

【莉央ちゃん頑張れ!!】


 配信の方もコメントが流れている。

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