第52話 表彰、そして次の舞台へ

日本大会では、俺と莉央の無双状態であった。

試合で勝利し、きっちりとプロホプル日本大会デュオ部門で優勝を果たした。


「やったー!!」

「おう!」


 俺たちはその場でハイタッチする。

これで、お互いにデュオ部門では初の優勝ということになる。


 観客からも優勝ペアが決まったということで、すごい盛り上がりを見せていた。


【予想通りtakamoriさんと莉央さんのペアだ!!】

【デュオでも優勝出来んのかよw】

【強すぎやろ】


 配信の方のコメントも一気に流れていく。

とても、もう目で追えないほどである。


 一度、控室に戻ってから、次は表彰式になる。

確か、今大会の4位まではアジア大会の切符を手にすることができるのである。


 表彰式には開発会社であるリュアーグの社長が居た。

順位が低く方から順に表彰されていく。


 そして、一位の俺たちの番が回ってきた。

大谷社長が俺たちの前に立つ。


「優勝おめでとう。お二人のおかげでプロホプルは世界的に見ても有名なゲームへと成長できました。これからも弊社ゲームの発展にお力添え頂ければと思います」


 賞状と記念品、そして賞金額が書かれたカードを受け取った。


「ありがとうございます」

「アジア大会も応援しています」


 こうして、日本大会は幕を下ろしたのであった。

再び控室へと戻る。

もう、大会は終わっているのでいつ帰ってもいいのだが、俺たちの前には挨拶の列が出来ていた。


 その中には仕事の依頼なども多くあったが、全部事務所を通してもらうことにしている。


「人気者は大変だな」


 そう言って、大谷社長が入ってきた。


「改めて、優勝おめでとう」

「ありがとうございます」

「これで、プロホプルはまた注目を集めることになるだろう。君たちのおかげだ。本当にありがとう」


 大谷社長が頭を下げる。


「いえ、僕たちは楽しんでプレイしてますから」

「そうですよ!」

「君たちはプロっぽくないのがいいよな」


 そう言って、大谷社長はニヤッと笑う。


「今日はゆっくり休んで、またアジア大会での活躍を期待しているよ」

「はい、頑張らせて頂きます」


 大谷社長が去って、ようやく挨拶の列は無くなった。


「さて、帰るか」


 俺たちは荷物をまとめると大会会場を後にした。


「そういえば、今日うちで飯食ってかない? 柚月が勝っても負けてもお疲れ様会やりたいって」

「うん、いいよ! 柚月ちゃん可愛いからまた会いたい」

「じゃあ、行きますか」


 電車に乗って、俺のマンションの最寄り駅まで向かう。

そこからは歩いて、マンションへと到着した。


 鍵を開けて中へと入る。


「何でこんなに暗いんだ」


 いつもは電気がついて、明るいリビングが今日は電気が消えていた。


「柚月、居ないのかな」


 そんな事を思いながら、俺はリビングの電気を点ける。


 ーーパーン!!


 それがクラッカーの音だと気づくのに一瞬遅れる。


「おにい、莉央さん、優勝おめでとう!!」

「おめでとう!」


 柚月と親父がクラッカーと共に出迎えてくれた。

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