第50話 日本大会②
俺たち安全エリアの中にギリギリ入っている位置に居た。
「よし、ここはエリア内だな」
「うん、そうだね」
画面の左上には残りの敵の人数が表示されている。
先ほどより2人減っているので、1組倒されたのだろう。
「あと、20人か……」
やはり、いつもより敵の減りは遅い。
皆、中々突っ込んではいかないのだろう。
なにしろ、アジア大会、世界大会への切符がかかっている試合なのだ。
いつも以上に慎重になるのは仕方ないことだ。
「結構、長期戦になりそうだね」
「ああ、そうだな」
他の面々も、まだ大人しくしているのだろう。
「まあ、ここも安全エリアからは外れるし、移動するか」
「了解」
着々と安全エリアの収縮が始まっていた。
エリアが狭くなるということは、それだけ敵と遭遇する確率も上がるということである。
俺たちは安全エリアに入る為に移動をしていく。
クリアリングしながら進む。
「莉央、待って」
「どうした?」
街に入る前に木の影から俺は先に進もうとする莉央を止める。
「射線切って!」
「了解」
俺の言葉に莉央はすぐに反応する。
その反射神経はさすがである。
「240の家見える?」
「ああ、あの3個並んでるやつ?」
「そう、その一番手前の家に居る」
「すごい、よく見えたね」
家の中で動く影を俺は見逃さなかった。
「まあな」
俺は射線を切りつつ、スナイパーに切り替える。
そして、スコープを覗き込む。
「頭だせー」
敵が窓から頭を出した瞬間に俺はスナイパーライフルを発砲する。
弾丸は頭に命中する。
「1人やった。気絶」
「ナイスー!」
1人倒すと、同様したのかもう1人が蘇生しようとして、頭を出してくれる。
そこには完全に隙が生まれている。
もう一発スナイパーを発砲する。
「チッ、外した。でも結構痛いと思う」
銃弾はわずかに頭から外れてしまった。
それでも、胴体には当たってるので相当痛いダメージを負っているはずである。
「了解! 突っ込みます」
「おっけ、フォローする」
莉央がアサルトを構えて、敵がいる家の中に突っ込んで行く。
俺は狙いやすい場所に移動して再びスナイパーを構える。
すぐに莉央のアサルトの銃声が響く。
「やりました! 確キルです」
「ナイスー」
俺はスナイパーのスコープから目を離す。
「takamoriさん、アサルトの弾入ります?」
「いや、俺はあるからいいよ」
「じゃあ、もらっちゃいますね」
「あいよ」
俺は遠距離の狙撃が得意としているので、アサルトの弾はあまり使わないのである。
一方で莉央は近距離から中距離戦が多いので、アサルトの弾の消費が多いのだろう。
「順調だな」
「ですね」
なんとか、敵の不意をついて確キルまで持って行くことができている。
敵にこっちの場所がバレていなければ圧倒的有利なポジションで戦えるのだ。
左上に表示されている敵の数は12となっていた。
随分と一気に減ったものである。
ここからは敵も猛者たちだろう。
より一層警戒しながら進む必要がある。
「移動するか」
「そうだね」
この状況であまり、一箇所にどどまっておきたくはないのだ。
【莉央&takamoriペア、優勝確実か!?】
【連携力が素晴らしい】
【takamoriさんのスナイパー最強だろ】
配信の方もかなり盛り上がっているようである。
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