第49話 日本大会①
いよいよ日本大会がスタートする。
この大会で上位の結果を残したペアがアジア大会の出場権を獲得することができる。
泣いても笑っても、一発勝負なのがプロホプルの日本大会である。
カウントダウンが始まり、ゲームがスタートする。
「青ピン降りようか」
「了解」
俺は地図上にピンを刺す。
激戦区からは外れた位置になる。
今回は相手は野良では無い。
曲がりなりにもプロを相手にしているのだ。
慎重にいか無いといけないだろう。
「俺、この家で漁るわ」
「じゃあ、私は隣に行きます」
「あいよ」
パラシュートで降りる時に、周りを確認したが、ここに降りているのは俺たちだけだった。
激戦区の中央都市には何個かパラシュートが降りているのが見えたので、そっちは開幕戦闘になっていることだろう。
「ここで物資充実させたら移動するかー」
「そうだね」
俺は武器と銃弾を拾って行く。
スナイパーとアサルトを拾えたので後は投げ物系を充実させれば十分に戦える。
「莉央、物資どう?」
「大丈夫。いつでも行けるよ」
「了解! こっちも大丈夫だ」
「じゃあ、移動する?」
「そうだな」
そろそろ、第一段階の安全エリアの収縮が始まる。
中心部からは遠くに降りたので、ここは安全エリアからは外れている。
「エリア向かいつつ、敵がいたら倒す感じで行きますか」
「おっけ」
俺はスナイパーからアサルトに切り替える。
「ここ、開いてるな」
「そうだね」
次の街を通り過ぎようとした時、家のドアが開け放たれているのに気づいた。
これは誰かがこの家を漁ったという証拠である。
自然とドアが開け放たれるということは無い。
「注意するぞ。できるだけ射線切ろう」
「了解」
敵に近づくと足音や銃声が聞こえるのだが、今回は何も聞こえない。
こういう時の可能性は大きく分けて二つある。
一つは、既に移動してこの街には居なくなっているという可能性。
もう一つは伏せて静かに様子を伺っているとという可能性だ。
前者ならいいが、後者だと厄介だ。
「莉央、どう思う?」
「なんか、居そうな気がするんだよね」
「俺もだ」
これは勘というか、なんとなく経験上こういう場合はどこかに潜んでいる場合が多いのだ。
「ちょっと探すか。とりあえず、この家には居ないみたいだな」
「takamoriさん、足音!」
「マジか」
莉央の声で確認すると、確かに足音が聞こえる。
「隣だな」
窓から一瞬、移動する影が見えた。
「あれ、手榴弾投げるわ」
「了解」
俺はアサルトからスナイパーに切り替える。
そして、手榴弾を隣の家の二階の窓に向かって放り投げる。
投げて数秒で爆発音が聞こえてくる。
俺の画面にはキルログが表示される。
「やったやったやった。詰めよう」
「了解」
「気絶ね。やったのは1人だからもう1人いる。多分今、起こしてる」
俺たちはすぐに隣の家に移動する。
先頭を行っていた莉央が発砲する。
「やりました! 確キルです」
「ナイスー! 起こしてなかったね。さっきの手榴弾でやったやつも確とった」
「ナイスです!」
俺たちのプレイを見て会場も、配信も盛り上がる。
【手榴弾うま過ぎやろ】
【莉央ちゃんの接近戦最強】
【連携が神】
コメントは勢いよく流れて行く。
「物資漁ったらまた移動しますかね」
「そうだね」
今回は大会ということで、いつもより敵が減るのが遅い。
今、俺たちが倒したペアで三組目という所だ。
本命のペアはまだまだ残っている。
今のところ、予想順位の低い方から順番にやられている感じである。
「まだまだ、残ってるね」
「そうだな。集中していこう」
普段より緊張しているのか、マウスを握る手は汗で湿っている。
「よし、移動しよう」
安全エリアの収縮が始まっている。
エリア外で死んだりする訳にはいかないのでエリアに入るため、移動を再開した。
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