第21話 嬉しい誤算

 莉央と生配信をした翌日、俺はその反響に驚いていた。


「日本のトレンド1位ってまじかよ」


 SNSを見ると、日本のトレンド1位から3位を俺と莉央関連で独占していた。


「切り抜きもかなり回ってるな……」


 いつも俺の配信を切り抜いてくれているアスナさんは、早速切り抜き動画を投稿してくれている。

その再生数は160万回再生を超えていた。


「ここから、さらに伸びるよな」


 まだ、投稿されてから一日も経過していない。

ここから、さらに再生されて行くことだろう。


 自分に多少は影響力があることはわかっていたが、莉央と関わることでとんでもない効果を発揮してしまった。

しかし、これは嬉しい誤算というやつだ。


 チャンネル登録者数もえらいことになった。

俺のチャンネル登録者数は80万人目前だった。

莉央の方も43万人に急増している。


 切り抜き動画の効果もあるが、やはり、多くのメディアに取り上げられたことが大きいだろう。


 俺は次の切り抜き動画を見ようと、画面をタップしたとき、スマホが振動する。

スマホの画面には白瀬雪乃と表示されている。


「はい、高森です」

『お疲れ様です。白瀬です。今、お時間よろしいですか』

「はい、大丈夫ですよ」


 そう言うと、俺はゲーミングチェアに座り直す。


『昨日の配信すごい反響ですね。うちの事務所でも近年稀に見る伸び方をしていますよ』

「そうですよね。自分でも実感が無いというか、驚いていますよ」


 正直、ここまで行くと実感というものが無くなってくる。


『それで、高森さんに取材依頼やゲームイベントへの招待が殺到しているんですが、受けますか? 学業の方もあると思うので、無理にとは言いませんが』


 俺は、これまでイベントや取材は最低限に抑えていた。

元々、目立ちたいという思いでゲームをやっているわけでもなかったので、そういう方針でやってきた。


「これは、直接お会いした時に言おうと思ったんですが、ちょうどいい機会なので今言いますね」

『お、なんですか?』

「僕は莉央と一緒にまた世界を目指すことにしました」

『そうですか! ついに決心したんですね!!』


 電話越しでも、白瀬さんの興奮が伝わってくる。

俺は、もう世界大会に出るつもりは無かった。

しかし、莉央との出会いが世界大会への後押しになった。


「はい、白瀬さんはもっと忙しくなっちゃうかもですけど、イベントや取材もできる限り受けます」

『それは嬉しい悲鳴ってやつですよ。任せてください! 莉央さんとセットの依頼がほとんどなので、莉央さんの事務所の方と協議してスケジュール組みますね』

「わかりました」


 やはり、莉央とのセットで出演依頼が多いらしい。

まあ、企業としてはより話題性の高いことをしたいと思うのは当然だ。


『高森さんもこれから忙しくなりますよ!』

「覚悟しておきます」


 そういうと、俺は白瀬さんとの通話を終了させた。

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