第7話 美少女プロゲーマー
家に帰ると、白瀬さんから連絡があった。
莉央さんとの顔合わせの日程が決まったらしい。
意外と早く会うことになりそうだ。
日にちを見ると、一週間後の土曜日に調整されていた。
俺はそれに了承する旨のメールを送る。
「楽しみだな」
コラボ依頼があってから、莉央さんのプレイ動画を本格的に見るようになった。
配信でも顔出しをしながらプレイしているのだが、プレイもメチャクチャに上手い。
天は二物を与えずと言うが、どうやらあれは嘘らしい。
彼女の配信を見たときに確信した。
ゲームの腕、容姿、声、全てが素晴らしい。
もはやずるいと思ってしまう。
♢
一週間という長いようで、短い時間はあっという間に過ぎ去って行った。
楽しみなことがあると、時間の流れが早く感じるのだろうか。
今日は、莉央さんとの顔合わせの当日だった。
着替えを済ませて、部屋を出る。
「あれ? おにい出かけるの?」
俺の服装を見た柚月が言った。
「うん、ちょっと仕事の打ち合わせ」
「そうなんだ。気をつけね」
今日の俺の服装は黒シャツに黒のスキニという、全身真っ黒なコーデである。
元々、外出する機会も少ないので、私服という類が多い方ではない。
これでも、打ち合わせの為にまともな服装をしたと思っている。
「ありがとう。行ってくる」
「行ってらっしゃい」
柚月に見送られて、マンションを出る。
今日は、駅前の喫茶店で顔合わせとコラボ企画の打ち合わせということになっている。
駅までは歩いても数分の距離なので、ゆっくり目に歩き始める。
喫茶店の前まで行くと、白瀬さんが立っていた。
今日の白瀬さんは白の緩いロングスカートに、桜色のブラウス。
いつものオフィスカジュアルもいいが、私服も似合いすぎていて三十メートル先からでもすぐに分かった。
「高森さん、おはようございます」
「おはようございます。先に入っててもらってよかったのに」
「いえ、私も今来た所ですから」
そんな会話をしながら、俺たちは喫茶店の中へと入る。
少し高級な雰囲気が漂うオシャレな喫茶店だ。
莉央さんたちはまだ来ていないようなので、コーヒーを飲みながら待つことにした。
「白瀬さん、今日は休みなのに付き合ってもらってありがとうござます」
「いえ、高森さんは気にしなくていいんですよ。調整したのは私ですし」
白瀬さんはこう言うが、俺の都合を優先してくれたのだろう。
普通に会社員の白瀬さんは土日祝日が休みなのである。
「なんか、緊張しますね」
待ち合わせの時間はもうすぐそこに迫っていた。
俺は、運ばれて来たアイスコーヒーを一口飲む。
「高森さんでも緊張とかするんですね」
「そりゃ、しますよ」
そして、待ち侘びた人物が到着する。
「お待たせしました。夏目莉央と申します」
黒髪を胸の上くらいまで伸ばし、可愛いというより美しいという方が似合う少女がそこには居た。
黒のミニスカートのワンピースに金色のベルトをし、その声はとても聞き心地がいい。
まさに、天使のような美少女プロゲーマー、夏目莉央だった。
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