第3話 冒険者としてそして・・・定番です。
ーー 冒険者としてやって行けそうです。
4日ほど西の森で狩りをした私たちは、迎えの馬車で街に帰った。
冒険者ギルドに立ち寄り、アルマの事を報告しパーティーに入れる。
ギルドでは、ダイアウルフの群れに襲われ怪我していたアルマが殺されたと報告されていた様だ。
そのパーティーは「英雄の道」と言うギルドランクで言うとCランクというそこそこのランクにいるパーティーだが、評判は以前からよくはなかった様だ。
私たちのパーティーは「ライデンの雷(イカズチ)」という名前に決まった。
ギルドのランクはC、もう直ぐBランクの昇格試験を受ける予定だ。
これは警護任務をこなす必要がある様だ。
ダイアウルフは、買取額の高い魔物の一つで特に今回のように傷らしい傷のないものは、高値で買い取ってくれた。
私はここにきて、
「何とか冒険者で身を立てられそうだ。」
と思い出していたが、他のパーティーメンバーは
「そこまでの実力があるのに自己評価が低すぎです。」
と言われた。
ーー 拠点に家を買おう
いまパーティーメンバーが4人になり宿屋暮らしもお金がかかり出した。稼ぎからすれば、特段痛手はないがどうせなら家でも借りるか購入しようという事になった。
一番の理由は、風呂だ。この世界で過去の記憶を思い出した私は、風呂に入りたくて堪らなくなったのだ。
この世界では、体を拭くか沐浴するかだ。
初めの頃は良かったがだんだんと風呂の記憶が蘇り堪らなくなったのだ。
4人で不動産というか物件を扱っている、商業ギルドに向かった。
「これなどどうですか?6LDKで納屋付きです。」
と一つの物件の資料を見せる、職員。
「現物を見ないと実感が湧かないな」
と答える私に、いくつかの物件の資料を手に職員が案内を始めた。
「ここが、最初に紹介した物件です。中にどうぞ。」
と言いながら内乱が始まる。
一緒について来た彼女らの反応が今いつの様だ。
「次をお願いします。」
と次の物件に向かう。
4件目の物件の前でアリスが
「凄いわ。」
と声を漏らす。
3階建ての物件で、庭が広く納屋と馬小屋もある。
「中にどうぞ」
と言われ入ると、間取自体はそこまで変わらなかったが、ここにはお風呂があった。
「前の持ち主が古の浴場を再現したと聞いていますが、よく分かりません。」
と案内の職員。
私は
「ここにします。」
と即決したのだった。
ーー アルマ side
私は、孤児院で育ったドアーフ族と人族のハーフ。
名前は孤児院のシスターがアルマと付けてくれた。
成人して冒険者登録したが、自分自身では魔物を倒すことが難しいので、荷物持ちとしてパーティーについてゆく事にした。
私は体の割には力があるので、荷物持ちはいい仕事だった。
しかしこの間、臨時にパーティーに入ってたパーティーは最悪だった。
いやらしい目で私を見ていたのもだが、ダイヤウルフに襲われた時に私を囮にして逃げたのが決め手だった。
その時に今のパーティーに助けられたのだが、このパーティーは色々と他のパーティーとは違うことが多い。
先ずは、実力がありすぎるのだ。
若い2人の女性は、剣と魔法が得意でこの街の冒険者の中でもトップクラスだと思う。
でもリーダーの若い男性は、いまだにその力がわからないほど強いのだ。
だって、神の「雷撃」を使うんです。
そして今日のことです、家を見に行く事になりました。
パーティーメンバーが増えたので、家を買おうという話になった様です。
そして大きなお屋敷の様な家を「ここにします。」と言って買ったのです。
信じられませんでした。
これから引っ越しの準備だと思って、私の出番とばかりに構えていたら。
「収納魔法持ちが2人いるから荷造りはいいわよ。」
とイデアさんが言うのです。
「雷撃」と言い「収納魔法」と言い、まるでおとぎ話です。
こんなパーティーで私はやっていけるにでしょうか。
「心配です。」
ーー 新しい拠点
購入から3日で引っ越しを終えた。
部屋の中を綺麗にするために、「浄化」を訓練しながら掃除をしていたら2日でものにできました。
お陰で家中綺麗になり新築みたいになりました。
問題はお風呂です。
湯船はかなり広く、10人近く入れる広さです。
洗い場もそれに応じて広いが残念なことにシャワーが無かった。
そこで天井付近にタンクを据えて、金属製のパイプを付け先にジョーロの様なものを付けてシャワーとした。
お湯については、魔道具で作るようで魔物の魔石と呼ばれる石がエネルギーとなっている。
後は石鹸やシャンプーなどの入浴用の小物だ。
未だこの世界ではそこまで発達していないため、自分で作った方が早いかもしれない。
今度は錬金術を取得しよう。
寝具についても伝えておこう、この世界のベッドは良くて藁普通は板敷だ。
貴族の家なら重ねた毛皮を敷いていると言うがどちらも寝心地はイマイチだろう。
そこで私はここに来るまでに、羊に似た魔物を見つけた時に多くの毛を収納していた。
さらに空を飛ぶ鳥や魔物で羽毛が柔らかいものを重点に収納していたのだ。
家を購入した時に、直ぐに縫製をする職人に羽毛布団と羊毛布団の製作を依頼していた。
今後はマットレスになる素材を探すことにしよう。
この時の目的は意外とあっさり達成する。魔物のスライムという物がその素材に変わるのだ。
◇
今日はアルマのレベル上げとスキル習得の為に西の森に来ている。
「アルマ。どんなスキルが欲しいんだい。」
リーダーであるカイトが尋ねると。
「ええ!スキルが狙って習得できるんですか?」
と驚きの声。
「そうよね。私たちも始めは驚いたものよ。でもね全てではないけど、意外と習得できるから自分のほしいもにを言って。」
アリスが言うと「本当に」といいながら。
「私は鍛治のスキルが欲しいです。後は・・戦える力が・・欲しいです。」
と言うとカイトさんは
「それなら意外と簡単だし都合がいい。」
と言うのです。
それから私は、森の中で昼まで魔物のトドメを刺してレベルを上げさせてもらいました。
その後は、訓練だと言われ瞑想をしてお腹の中のエネルギーの塊を探せと言われた。
レベルアップしていたせいか、私にも直ぐにその熱を持つ塊が分かりました。その熱を広げるように身体の中を移動させるのが難しかったです。
その後5日かけて、同じような事をを繰り返すとある時に。
「ああ!熱が来ました。」
と声を上げたほどの変化があったのです。
カイトさんはそれで、身体強化ができたと言うのですが?
すると私を木立に連れて行って
「腕に熱を纏わせる感じで、これを殴ってみてください。」
と言われ、恐る恐る右腕に熱を持ってきて殴ってみました。
「ドフッ」
少し重い音が聞こえました。驚いて自分の拳を見ますが怪我などありません。
そして叩いた木を見ると拳の形にクッキリと凹んでいました。
「痛くないだろう。次は思い切って。」
と言われ、信じるしかないと覚悟を決めて右腕を振り抜くと。
右手が振り抜けました、木を突き破って。
「これが・・私の力・・感動です。」
と言いながら思わず、カイトさんに飛び付いて喜びました。
直ぐに殺気に気付いて離れましたが、2人に怖い目で見られていました。
錬金術のスキルについては、家に帰り寝るまでの間にと。
「この針金をこの棒に巻き付けて、スプリングを作ってもらいます。」
と言われて毎日棒に鉄の針金を巻き付けていました。
ある時針金を手に持ち、棒に巻き付けようと近づけると。勝手に針金が巻き付いたのです。
そしてあの声が
[錬金術を習得しました。]
と聞こえたのです。
その後は、図面を見せられ金属の加工を色々とやらされました。
その甲斐あって、今ではどんな形にも自由自在です。
ーー ベッドが出来た。
西の森で1番良く見かける魔物は、スライム。
色とりどりのスライムがおり、その色で性質が変わるそうだ。
「そういえばトイレにも居たな」
と思いながら色々と試すことにしたのだ。
赤いスライムを色々な属性で倒しその身体の変化を確かめる。そう言う事を繰り返しているうちに有用な性質に変わる倒し方とスライムを発見した。
・赤スライム〜氷で倒すと断熱材になる
・緑スライム〜火で倒すとノリになる
・水色スライム〜氷で倒すと発泡スチロールみたいな緩衝材になる
・黒スライム〜無属性で倒すとゴムになる
今までわかつたのは、これだけだが色々と使えそうだ。
ベッドの木枠に厚手に布でマットレスに縫い上げてもらい、その中に四角い発泡スチロールみたいな緩衝材を入れる。当然そに中にはスプリングが埋め込まれ、沈むが強く反発するようになっている。
その上に羊毛の敷布団を敷き、羽毛の掛け布団と枕で寝具は完成だ。
寝心地は記憶にあるヨーロッパの国の名を冠したベッドと遜色ない。
皆に披露したところ注文殺到だ。
当然皆の数だけ揃えているので披露すると皆自室に引き込んで出てこなかった。
ーー 石鹸やシャンプーを作ろう。
こうなると次は石鹸やシャンプーになるよな。
確かに記憶には昔サバイバル教室で習った石鹸の作り方などの記憶があるが、ここは魔法のある世界だ。
透明なスライムの死骸に(核を抜いただけ)手を突っ込み魔力を纏わせて洗浄と浄化を意識する。
何度か挑戦していると使った後の死骸が変化してきた。
白く変わり固形になったのだ。手に取り鑑定すると
[洗浄と浄化の効果のある固形]
と出た。
水に漬けながら手を洗うと物凄く泡立ち綺麗になった、害もないようだ。
魔力の量を調整すると
少し(水様)〜中位(液体)〜多め(固形)
に変わり中くらいから効果が強い。
そこでさらに回復魔法をプラスすると、髪が甦ったように変わった。
これで石鹸とリンスinシャンプーが完成した。
さらに髪がいいならと思い、魔力水を作り回復と癒しの魔法を込めると「若返りの化粧水」が完成したのだ。
これらも皆に試してもらったら、
「「「常備して下さい。」」」
と言われた。
私は面白くて同じ様なものを数えきれないほど作っていたが、収納があるから問題ない。
ーー 下着を作り始めた。
この世界の服は、生地自体の種類が少ないためか、ゴワゴワした物がいと多い。
特に下着はフィット感がない。
そこでスライムを研究している時に見つけた「ゴム」を使うことにした。
この不思議ゴムは熱を加え引っ張ると、幾らでも伸びて細くなるそれを凍らせると、糸になるのだ。
ゴムの性質を持った。
それで身体ぴったりの下着を作れば、フィット感バッチリの下着ができる。
これで下着を作って着用していたら、洗濯をしていたアルマが気付き、その日の夜には3人に問い詰められた。
「あの布地はどこでどうしたのですか?」
と。
「私が作りました。」
と答えると
「私たちにも同じものを作って下さい。」
と言われそれぞれのサイズの型紙を作ってもらい、製品を作った。
試着した皆は
「「「とても良いです。」」」
と笑顔だった。
当然ブラも作らされました。
「・・・・。」
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