第2話 もふもふしりとり


 電気を消した暗い部屋。

 もふもふではないが、心地よいシングルベット。

 隣には夜中になると無意識に暴れる変人彼女。


 すぅ…すぅ……


「ねぇ……さっくん、『もふもふしりとり』しない?」

「……はい?寝れないの?あと何それ?」

 今まさに寝かけたが、朔也は起こされた。


「よく寝れないときに羊を数えるじゃない?だから『もふもふ』をしりとりで想像してたら、寝れるかなと思って」


「それ、数えることに意味があるんであって、もふもふには意味はないと思うが?

まぁ……いいけど、俺興味ないから『もふもふ』あんまり知らないよ?」


「でっち上げでもいいよ。さっくんからね」


「適当だな。じゃあ、『ひつ』」


「じ…じー、じぃ『じいさんのひ』」


「何か違くないか?げかぁ……『原始人のこしみ』」


「『のらね』」

「『こい』」

「ぬ、ぬぅぬー、ぬー、『ぬいぐる』」


 しりとりで頭を使ってかえって頭が冴えそうだ。ひまりは何故か朔也の手を握ってきた。


 きゅっ


「みみず……じゃなくて『ミミズ』」

「く『クラブハリエのバームクーヘ』。さっくん、今のなし!くぅーくぅー、くぅーんんん、『くろね』」


「もはや『もふもふ』ではないな。美味しいけどあのバームクーヘンはあえていうなら『ふかふか』だろ?『コーー』」


「コーギーめっちゃ好きっ!さっくんもそう思う?ぷりぷりの丸いおしりをふりっふりっして歩くの超絶ぷりちーだよねっ!」


「そりゃ、道で見掛ける度にうんざりするくらい言われたら俺でも覚えるわ。しりとりは?」


「ぎ、ぎ、『ぎゅっとしてくるコア

 』」

「ら、『ライオンのたてが』」

「ふわっふぁーだよね。いつか触りたい。みー、みぃー、『ミーアキャッ』」

「触る前に襲われるぞ?『トト』」

「『ロシアンブー』」


「おい、流石に只の『色』を『もふもふ』って言い張るのは審議だぞ?」

「さっくん、ロシアンブルーはにゃんこの品種だよ。これこれ」

スマホの画面をひまりは朔也に見せる。


「ふーん、品の良さそうな猫さまだな。『る』ね、る?るー、『るんるんしてるパン』」


「んーそんなイメージないよ?パンダ」

「ただのんびり笹食ってるだけじゃないかもだろ?」

「『ダチョ』……」

「もはや動物しりとりに……。『ウサ』」

「ぎー?ぎぃー……ぎぃー、『ぎゅうぎゅう詰めのヒヨ』……」

「可哀想だな。動物好きなんじゃなかったけ?『こと』」

「り……『り』」


「『すやすや眠るひまりちゃ』。ひまりは寝落ちだから引き分け。おやすみ」


なーでなで ちゅっ


 もふ・もふ?



【もふもふしりとり結果】引き分け

 ひまりコメント:

 本当はもっと『もふもふ』は色々あったんですよ?でも『しりとり』ってなるとなかなか出てこなくて。コツメカワウソとか、レッサーパンダとかモモンガとか、さっくんに教えてあげたかったなぁ。


 朔也コメント:

 いやだから俺は別に動物に興味はないんですって。最後のやつだけです、好きなのは。

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