ふしぎ話① ボンボン時計と座敷童

 今回はふしぎ体験の話。


 これは、わたし桃子が小3~4年くらい、母方の祖父母の家に泊まった時の話だ。


 祖父母の家は山奥、小さな集落は道路沿いに家が建ち並び、集落の中でも祖父母の家はひと際大きくて、時代劇のお殿様の庭のようなりっぱな松が植えてある広い庭。玄関から入って、右も左も客間、さらに奥は座敷には大きな仏間と床の間。さらに奥もなんかの部屋。広い! 廊下が長い! 走れる! 田んぼも畑も山もあった。母はこの辺ではお嬢様だったんじゃないのか? 青木家は貧乏だったけど(笑)。

 三歳頃の記憶が確かなら、薪でお風呂焚いていた。「ポツンと一軒家」を観ると懐かしく感じます。でも、途中で新しく家を建て直したような気がします。


 母は6人兄姉妹きょうだい。夏休み中、毎年お盆近くになると親戚が集まり、いとこもたくさん来ていて、昼は近くの川で魚やサワガニを獲った。日が暮れるまで泳いだ。


 いとこは十人以上いたので、だだっ広い畳の部屋で子供だけで雑魚寝しました。隣は大きな仏壇のある座敷、なぜかその部屋が怖かった。

 昼間、川ではしゃいだのに、全然寝られない。無理矢理目を瞑ったが、自分の布団じゃないと落ち着かない性格なのだ。しかし、目を開けたら天井の木目が人の顔に見えて怖いし、困った……。

 せっかく睡魔が襲いウトウトしていると、祖父母の家の古びた柱時計が鳴る。ゼンマイ式の振り子時計だ。通称ボンボン時計。一時間に一度、時間の回数分鳴る。それとは別に、三十分に一度、一回鳴る。だからまあ、三十分に一回はボンボン時計が鳴る。余計、寝られない。

 しかも、その一回の「ボ―――――ン」がやたら長くゆっくり響く。


 わたしはため息をつき、寝返りを打った拍子に目を開けてしまった。すると頬づえをついた女の子と目が合った。窓から漏れる月明かり、薄暗くてよく見えなかったが、目を凝らすと、一歳下の従妹の、のんちゃんだった。


(のんちゃんも眠れないのか……)


 二人はお互い顔を見合わせてニッコリ笑った。私が手をふると、のんちゃんも手を振る。私が転がると、のんちゃんも転がる。のんちゃんは私のマネをするのだ。しばらく遊んでいたが、ふと


(のんちゃんて、こんなことをする性格だっけ?)


 なんて思って、周りを見渡したら、のんちゃんは別の場所で寝ていた。


(え? 今遊んだ子って誰……?)


 再び視線を戻すと目の前で寝転がっていた子はいなかった。


「!?」


 ゾワゾワっと鳥肌が立ち、急に怖くなって、ガバっとタオルケットを頭からかぶった。

 すると、


 ボンボン時計が鳴り響き。

 ペタペタと誰かが廊下を走る足音。

 ケタケタと女の子の笑い声……。


 ドクンドクンと心臓が早く脈打つ。怖くて怖くて、目を瞑った。



 ピピピピ……チチチ……小鳥のさえずり、シャワシャワとセミの声、裏庭の木々のすきまから、朝日が差し込む。

 目を覚ますと、いとこたちはいなかった。朝起きて川に遊びにいってしまい、わたしは一人取り残される。 



 (いったい、あれ、何だったんだろう……)



 今でもあれの正体がよくわからない。夏の思い出。



 ***



 読んでくださりありがとうございます。「……座敷童」ってタイトルに入れちゃったけど、これはただの願望です♡ 

 「ボンボン時計と幽霊」なんてタイトルは嫌だ(><)それに霊感ないから、絶対、霊なんて見てないです!

 こんな感じの、とくにこれ以上の発展もない、ふしぎエピソードです。よかったら、またのぞいてください(´▽`*)

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