第55話
ブルベアの後ろからクレアとアリシアが迫る。
後ろから攻撃を繰り出す瞬間にブルベアが叫んだ。
「硬化!」
硬化によってブルベアの防御力と攻撃力が上昇する。
ブルベアが薄い光の幕をまとったようにてかてかと輝く。
物理防御もHPも攻撃力も高いブルベアがそれを使えば攻撃はほとんど通らなくなる。
後ろで斬りつけるクレアとアリシアを無視して俺を何度も何度も何度も殴る。
俺はじりじりと後ろに押し下げられていく。
「硬化には弱点があります!制限時間が終わればスキルの効果は切れます!もう少しで効果が切れます!そこがチャンスです!」
クレアが走ってこちらに向かいながら叫んだ。
「硬化!こふー!効果が切れる瞬間にまた使えばいいだけええええええ!」
俺は追い詰められていた。
『盾のLVが77から78に上がりました』
『メイスのLVが75から76に上がりました』
『盾のLVが78から79に上がりました』
「く!ファイアシールド!」
俺の盾の前に大きな炎の盾が完成する。
「せこい事するなよおおおおおおおお!」
ブルベアは拳から血を出しながら構わずファイアシールドを殴る。
『ファイアシールドのLVが58から63に上がりました』
『ファイアシールドのLVが63から66に上がりました』
ブルベアは狂ったように俺を攻撃し続ける。
「ファイアシールド!ヒール!」
『ファイアシールドのLVが66から68に上がりました』
「硬化あああ!おごおおおおおおおおおおおおおおおお!!」
「ファイアシールド!ヒール!」
ブルベアとの戦いは俺のファイアシールドとブルベアの硬化対決になった。
ただ、硬化は魔力防御を上げない。
奴は3回連続で張ったファイアシールドをひたすら殴って壊す。
その行動に狂気を感じた。
「調子に乗んなああああ!」
だがブルベアは急にステップを踏み出した。
クマのような巨体でボクサーのように機敏に動き、俺を横から攻撃する。
盾の無い左側を何度も狙われ、メイスを繰り出すがそれごと構わず殴り飛ばして来た。
俺が吹き飛ばされると、拳の衝撃波を乱射し、更に距離を詰めた。
ブルベアの衝撃波を受けた後、更に直接拳で殴られ、6連攻撃を受けて壁に吹き飛んだ。
俺はヒールを使って起き上がった。
血が出て、体が痺れる。
俺は少し前の事を思い出していた。
王都に父さんと母さんが来た。
「ゲット、元気にしてた?ああ、立派になったわね」
母さんが俺を抱きしめた。
父さんは僕と母さんを苦笑いをしながら見つめて、母さんが落ち着くと僕に防具を渡した。
「再生のローブと再生のブーツだ。この2つしか完成させられなかった。だが、この2つは俺が今出来る最高の仕上がりになっている」
「父さん!ありがとう!」
俺はすぐに防具を付け替えた。
父さんと母さんは自然と同じ言葉を言った。
「「ゲットを守ってくれますように」」
出来る事をやった後の神頼みだった。
でも、その心が、嬉しかった。
父さんの作ってくれた守りの円盾が俺の受けた傷を少しずつ癒していく。
父さんの作ってくれた再生のローブが俺の受けた傷を少しずつ癒していく。
父さんの作ってくれた再生のブーツが俺の受けた傷を少しずつ癒していく。
「ヒール!」
ゼスじいが教えてくれたヒールが俺の傷を癒していく。
「しぶといなりいいいいいいいい!」
「俺は守られている!!」
ゼスじいの教えてくれた盾とメイスが俺を攻撃から守ってくれる。
「私もいます!」
「私もいるにゃあ!」
アリシアとクレアがブルベアの注意を引いてくれる。
「ハイヒール!」
エステルのハイヒールが俺を完全に回復させた。
「エステルタン!なんで!なんでこいつを回復するなりか!そうか、あいつが騙して、脅して、酷い目に合わせて支配しているんだあああああああああああああああああああああああああああああああ!硬化ああああ!」
ブルベアは硬化を維持しつつ攻撃を続ける。
そこにエムルのスケルトンが9体飛び込んでくる。
防衛で余裕がない中それでもスケルトンを出してくれたんだ!
「スケルトンで引き付けている内に、君の最強攻撃を使うんだ!」
エムルの言葉に全員が頷く。
スケルトンはおとりになるようにブルベアの注意を引き付ける。
「そうか、周りが邪魔するのかあああああ!」
きゅうにブルベアはクレアを攻撃しだした。
ブルベアの攻撃に合わせてクレアが拳に剣を突き立てる。
「身体強化が甘い!剣強化が甘い!僕は身体強化を極めて硬化を手に入れたんだああ!邪魔するなああ!」
クレアが攻撃を受け吹き飛んだ。
「次いいいいいい!」
アリシアが攻撃を何とか躱す。
「お前は少し早いだけだああ!連撃を受けきれないだろおお!!」
拳の衝撃波と殴り、更にステップでアリシアが攻撃を受けて吹き飛んだ。
エステルがアリシアとクレアを回復し始める。
だが、ブルベアはその隙にスケルトンを殴り砕いていく。
「どらどらどらどらああああああ!やっとお前を攻撃出来るううう!」
「いや?お前は罠にかかった!エクスファイア!」
ブルベアがエクスファイアの炎で防壁にたたきつけられた。
「エクスファイア!」
更にエクスファイアを使ってブルベアを焼く。
だが、ブルベアは炎の流れに逆らうように俺に突撃してきた。
俺とブルベアが急接近する。
ブルベアが拳を振りかぶる。
俺は盾を構えて次の魔法を詠唱した。
「エクスファイアは間に合わないいいいいい!」
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