第24話

【ダスト視点】


 俺の前にいるのは疾風のガルウインだ。

 帝国六将の一人で、ゲームストーリー後半では六将との戦いがメインになる。


 疾風のガルウインは俺のライバルキャラでイケメンだ。

 キャラ人気も高い。

 だが、こいつからはオタクのような独特の動きを感じる。

 それに俺の事を転生者だと見抜いた。

 ガルウィンは『こっぽー』と言う奇声のような声は出さない。


 こいつもか?


「お前も転生者なのか?」

「そうなるね、単刀直入に言うよ。手を組もう」


「はあ!俺は勇者でお前は敵キャラだ」

「そうなるね。ゲームではそうだよ。でもこのゲームのストーリーは人同士の殺し合いだよ。勇者も六将もあまり関係ないんだ」


「俺は勇者としてハーレムを作る!」

「こっぽー!勇者としてうまくいっていないみたいだね」


 ガルウインは俺をバカにするように笑って言った。


「てめえ!ばかにしてんのか!」

「ごめんごめん、でも、このままじゃうまくいかないよ。手を組んでうまくやろう」


「断る!お前を信用できねー!」

「分かるよ。急に敵キャラの転生者が現れて協力を持ちかけられたらびっくりするよね。そうだね、信用してもらうために情報を出そう」


「情報?それが合ってるって言えんのか!!」

「これから起きる事を話すよ。今知略のクグツがこの国に攻め込もうとしているよ」

「時期が早すぎんだろ!」


 クグツは六将最弱ではあるが、中盤のボスだ。

 イベントを色々進め、俺のパーティーが力をつけた後に出てくる。

 クグツに今動かれるのはまずい!


「それともう1つ。ゲームのキーアイテム、ざまあチケットを僕らは持っている」

「なん、だと!」

「ざまあチケットはゲームでは4枚しか出てこないよ。でも、この世界にはもっとあるんだ」

「証拠は?」

「今は無いよ」


 こいつは『僕ら』と言った。

 仲間がいるのか?

 誰だ?


「今どこにある?」

「仲間が持っているよ」

「誰だ?」


「おっと、それ以上は協力を約束したら話すよ」

「ち!信用できねーな」


「クグツが攻めてきたら僕の言ったことを信じられると思うよ。仲間になれば、他の仲間も紹介しよう。ああ、そうだ。それともう1つ……でも、君は僕の事を信用できないんだよね?それなら君が痛い目にあって学んだ方がいいのかもね」

「何だ!?早く言えよ!」


「あっれーー!?僕の事を信用できないんだよね?じゃあ必要ないよね?」

「いいから言えよ!」


 俺はガルウインの胸倉を掴もうとするが、ガルウインの周りに風が発生して避けられた。


「人に物を聞く態度じゃないな。でも、言っておくよ。モブと僕たち主要キャラの差はそこまで無いんだ。君がモブをいじめたせいで未来が変わって、ざまあチケットまで使う事になったよね?自分が勇者だからって自分が特別だと思いすぎない方がいいよ。じゃあまた来るよ。こっぽー!」


 フォン!


 ガルウインは風をまとって飛んでいった。


 くそ!まるで俺が余計な事をしたようなバカにした態度を取りやがって!

 こうなったら俺もざまあチケットを集めて強くなってやる!


 六将だろうが俺一人で十分なんだよ!

 俺はコボルトのダンジョンに向かった。




【コボルトのダンジョン】


 敵が少ない?

 微妙に少ない。

 俺がダンジョンに向かうと違和感を感じた。

 まるであの時と一緒だ。


 俺は攻略を急いだ。

 敵が少ないとはいえ、コボルトは出てくる。

 コボルト位余裕だが、まるで攻略された後のように魔物が少ない。



 俺はしばらくダンジョンに通い、攻略を進めた。


「無い?無い!無い無い無い無い無い!どこに行った!まさかガルウインか!ガルウインがざまあチケットを取ったのか!」


 ガルウインは敵国の人間だ。

 だが、この国に入ってきていた。

 あいつがダンジョンを攻略したのか!


 だが、あいつの言い方はゲーム以外の場所でざまあチケットを取ったような言い方だった。

 くそ!どこに行った!早く俺の前に出てこい!


 ガルウイン!










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