第7話
「何それ?」
本当に見たことも聞いたことも無い。それに名前ダサくない?
「技男って名乗る謎の人が、この世に存在するありとあらゆるスキルの効果と取得条件を纏めたサイトだ」
「いや本当に何それ。俺には便利だけども」
普通の人にとってはどうでもいいゴミ情報をまとめたサイトにしかならないでしょ。
「なんかスキルオタクらしくて、この世の全てのスキルを知りたくて始めたんだと。ダンジョンが最初に発見された10年前位から運営していて、今でも毎日更新されてるぞ」
「凄いね……でも何で知ってるのさ」
「ほら、飛鳥。昔健太もスキルに憧れを持ってたじゃん」
「そういえばそうだったね」
健太は昔から大のラノベ好きで、学校の図書室や近くの図書館に行っては読み漁っていたっけ。
その流れでスキルにあこがれを持って、パソコンを使って調べたんだろうな。
「まあ、この世に存在するスキルは全部大したことないからがっかりだったけどな」
「の割には今でも更新されていることよく知ってるね」
「うるせ。とにかく有効活用してくれ」
「うん、ありがとう。とりあえず今からパソコン室に行ってみる」
先に方針を立ててからの方がやりやすい筈なので、スキル獲得は一旦後回しにすることにした。
「夕食までは時間があるし、今から行こうよ!」
「そうだな、3人で探した方が早いしな」
「ダンジョンとかに行かなくても良いの?」
「今日は元々休む予定だったから」
「俺もそうだな、流石に6日連続はキツイ」
「ありがとう」
本当に感謝以外の言葉が出てこない。
「良いってことよ」
「そうそう、早く行こうよ」
弥生が俺たちの腕を取り、急かすように外へ連れて行った。
「じゃあ、早速見てみようか!」
鍵を借り、パソコン室に入った俺たちはそれぞれパソコンを立ち上げ、『技男のスキル集積所』というサイトを検索し、開いた。
「なんというか、レトロなサイトだね」
「うん」
開かれたサイトはインターネット黎明期にあったような個人サイトのような見た目だった。
「昔からある個人サイトだからそんなもんだろ」
「まあね」
ダンジョンが見つかった時からあるんだから古臭いのは仕方ない。
まあ、今も続けているのならリニューアルとかした方が集客を見込めるんじゃないかとかは思うけど。
「とりあえず大事なのは中身だ中身」
「うん」
サイトの見た目ではなく、中身の方に目を向ける。
すると、大枠の段階で10を超える分類が存在していた。
「この中で探索者としての能力に今すぐ影響しそうなのは、筋トレ系、スポーツ系、武術系で、他に気になるのは効率系かな」
他にも勉強系や、社会活動系、五感等役に立つものは沢山あるけど、現状は身体能力最優先だ。
「じゃあ俺が筋トレ系、弥生が武道系をまず探すから、飛鳥は効率系を見てくれ」
「私が武道系?健太の方が詳しくない?」
弥生は意外そうな表情で健太を見ていた。健太が普段剣と盾を持って戦っているので、この中で一番武術に詳しそうだからだろう。
「お前スポーツも筋トレも良く分からないだろうが」
しかし、それ以上に弥生は運動系に弱いのだ。
それがどのレベルかというと、野球とサッカーの区別がつかないレベルである。
「それもそうだった」
その事に気付いた弥生は、大人しく役割分担を受け入れた。
「とりあえず効果範囲が広そうなスキルと、短時間で取得できそうなスキルをそれぞれリストアップしよう。時間は30分だな」
「「オッケー」」
当事者の俺よりもノリノリな健太の指揮の下、スキルを調べることになった。
俺が調べるのは効率系に分類される場所。予想ではあるけれど、ここにあるスキルを取れば他のスキルを獲得するために必要な時間が短縮されると思う。
そして開いてみると、実際に予想は当たっていた。
開いたページには既に取得済みの【スキル特訓】と【学習】の他に、【修練】や【スポーツ練習】、【筋肥大効率】等、自分の能力自体を高めるのではなく、スキルの獲得等の自己研鑽を補助するスキルが並んでいた。効果は全て3%。
条件は【学習】と同じで、それに類するスキルを200個取得可能な状態にする必要がある。
そのままなら果てしない時間がかかっていただろうけど、【スキル特訓】のお陰で20個だけで済む。
これならば無理なく習得していけるはず。
この中から取得するべきスキルは、【修練】、【スポーツ練習】、【筋肥大効率】そして【模倣】だろうか。
前三つはそれぞれ武術系、運動系、トレーニング系スキルを200個取得する必要があり、【模倣】は誰かの行動を1時間トレースすれば取れるらしい。
と一番下までスキルを確認し終えた後、青字になっているスキルの一つ、【修練】をクリックした。
「うわっ……」
そこに並んでいたのは、【○○効率(〇級)】と書かれた大量のスキル。どうやら、先程見ていたページは氷山の一角だったらしい。
【修練】をクリックしたからなのか、ぱっと見で確認できるスキルは全て武術に関連していた。
ってことは青字になっているスキル全てに同じくらいの量の分岐があるってことだよな……
唐突に作業量が千倍になってうんざりしたが、よくよく見ると大したことは無かった。
というのもそれぞれのスキル獲得条件が、効率を意識して任意の回数または時間を達成するものしか無かったからだ。
だから今弥生と健太が調べているスキル達のついでに取れるっぽいので、軽く意識に置くだけで大丈夫そう。
それから見落としが無いかを念のために確認した後、2人が探してくれている部分を探し始めた。
「よし、時間だな。纏め終わったか?」
「「うん」」
時間になったので、そのままスキルの確認に入った。
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