第4話 ピュアな顔には裏がある
ホテルに入って部屋を選ぶ時も、狭いエレベーターで二人きりになったときも、部屋のドアを開けてもらって先に通される時も、深雪は緊張で足が震えた
初めて不倫する罪悪感より、これから始まる初めての相手との未知なるセックスに興奮していた
自分がこんなに淫乱だとは思わなかった
それもこれも、さっきocomeに囁かれたときからである
「ocomeくん、意外と肉食なんだね」
「そうですかあ?あっ、これは先に伝えておいた方がいいと思うんですけど」
深雪と自分の上着をハンガーにかけながらocomeが言った
「え…いまさら何?怖いんだけど…」
「みゆさんが怖いことはないと思うんですけど、がっかりされるかも…」
「何何?早く言って」
ソファに隣り合って座ったocomeに深雪はにじり寄った
ocomeは気まずそうに横目で深雪を見ると
「実は俺、初めてで…」
「…ん?」
「セックス初めてなんです」
「それはつまり童貞ってこと?」
「まあ、はい」
なんというかわいい告白だろう
深雪はじわじわと込み上げてくる笑いを押し殺すのに必死だった
「あ、やっぱりがっかりしましたよね。俺が慰めるなんて言っておいて」
「がっかりなんてしてないよ。逆にいいのかな?初めてが私で」
「どういう意味ですか?」
「だってocomeくんならもっと若くてかわいい女の子とエッチできるのに、私となんて」
「そんなことないです!みゆさんさっき会ったばかりだけど、写真通りお綺麗ですし、優しいですし…」
ocomeの視線が泳いだ
気付くと、深雪の手がocomeの太ももの上に置かれていた
深雪はそのまま手を上に滑らせた
「もう大きくなってる。まだ何もしてないよ?」
かつて夫とのセックスでこんな言葉を発したことがあるだろうか
深雪は自分がこんなに淫らな気持ちになれることを初めて知った
ocomeが深雪の肩に手を回して引き寄せた
唇と唇が触れ、隙間からocomeの舌が侵入してきた
深雪は抗うふりをして徐々に舌を絡めていった
深雪がocomeの膝の上にまたがると、ocomeのモノが一層固く大きくなるのが感じられた
深雪は自分の股でこするように夢中で腰をゆすった
「えっろ…」
唇を離した瞬間、ocomeの口から吐息が漏れた
※※※
お昼ご飯のピザを頼む前に正常位で1回
ピザが来るまでに浴室で立ちバックで1回
ピザを食べてから2回は騎乗位からの対面座位と正常位とバックからの寝バック
3時間で4回のセックスをして、深雪はへとへとになり掛け布団を掛けるのもできずにベッドに横たわっていた
「大丈夫ですか?」
ocomeが冷蔵庫に入っていた無料の水を深雪に渡した
深雪は起き上がって蓋を開けようとしたが、手に力が入らず、ocomeに開けてもらった
「ごめんなさい。疲れさせちゃいましたよね」
深雪はocomeの子犬のような顔を恨めしくにらみつけた
「…てかocomeくん初めてって嘘でしょ?」
「ええ?どいいう意味?」
続けて4回もできる精力は、若さということで理解できる
しかし、童貞は早いという世間の常識とは裏腹に、1回1回が深く長く的確に奥を突いてきて、深雪は何度もいかされそうになった
喘ぎすぎて喉も痛いし、身体は早くもギシギシいっている
だが、身体はぽかぽかと温かく、心地よい疲労感に満ちていた
「気持ちよかった。まだ中に入ってるみたい」
ついさっきocomeにされたことを思い出すと、お腹の奥の方がギュッと締まった
「みゆさんすごく声出してくれるから頑張っちゃった」
「頑張りすぎだよ」
深雪はふと、聡とのセックスを思い出した
最後にやったのはいつだったか。半年前かそこら
深雪から誘って、嫌がられて、それでもくじけず触って、少し硬くなったら口に咥えて勃たせた
寝転がる聡の上に乗って腰を振ってよがるフリをして、ようやく最後に正常位で5分ほどでフィニッシュ
ocomeとしたものがセックスなら、聡としてきたものは何だ
セックスと言えるのか
しかも聡は自分がいったら終わりで、深雪がいくまで付き合うということは付き合ってから1度もなかった
ふいに深雪の目から涙があふれた
自分がかわいそうで仕方がなかった
女としての自分が無駄に消費されていく気がした
本当なら出会い系で知り合った男とやる方が虚しいはずなのに、今は聡とのセックスの方が虚しいと気づいてしまった
このままではダメだ
深雪は腕枕をしているocomeのしぼんだ陰茎をもう一度口に含んだ
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