空気な私でもなれたもの

バブみ道日丿宮組

お題:幸福な妻 制限時間:15分

 先生と教え子のカップルーーそれが彼女と私の関係。

 地味な私は教室の空気であり、友達と呼べる人はいなかった。

 小学校、中学校、高校。

 どれも同じだった。

 あまりにも空気すぎるので、班分けで幽霊のごとく驚かれるのいつものパターンだった。

 先生は美術の教師として赴任してきた。

 他の人がスルーする私を気にかけてくれた。

 思わず美術部に入ってしまうくらいに親しくしてくれたといえる。

 二人だけの時間はそんなにとれなかったけれど、アタックにアタックした。

 手は当然出してこなかった。したら、捕まってしまう可能性もあるから、好感度を高めたかった。

 

 卒業式。

 

 先生が一人になるタイミングで告白した。

 誤魔化されると思ったけど、真剣に応えてくれた。

 結果は見事に成功を収めた。

 そうして私は先生の妻になった。

 大学に通う関係上、会えるのは朝と夜だけ。

 それでも愛し合う二人には十分。求められるものを差し出せたかどうかは疑問ではある。

 情熱的な先生の手はいつも虜にさせてくる。私も応えるように手を出す。

 問題があるとすれば、先生と私は同性ということ。

 相互両親には理解を得て、同棲をしてるけれど……結婚はこの国ではできない。

 一緒にいることができるのだから、幸せと考えるべきだ。

 好きな人と一緒になるというのは難しい場合がある。

 フラレたり、告白されたり、色んなパターンがあるけれど、幸せじゃなきゃ意味がない。

 幸せであるということを伝えると、先生も幸せと返してくれる。

 関係は良好だった。

 もちろん、大学でも私は空気だったので、他の誰かと繋がるということはない。

 学校で一人ぼっちであっても、家じゃ先生がいる。

 そう思うと、寂しくはなかった。

 班分けするような授業もないので、学業をきちんと行うことができた。

 大学三年。

 そろそろその先を考える時。

 先生は自由にして良いとも、専業主婦になってもいいと言ってくれる。

 悩ましい。

 立派な妻というのも捨てがたいし、キャリアウーマンというのも魅力はある。

 ただ……空気な私がやっていけるのかは不安が強い。

 大丈夫だよと、先生はベッドの中で言ってくれる。

 その言葉は何よりも勇気が持てる。

 だから、きちんと答えを出さなくてはいけないーーそんなふうに思った。

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空気な私でもなれたもの バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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