第15話
ステータス更新が終わって家に帰る
帰る際に再び受け取ったステータスカードには、前回とは違う数値が並び、右下の欄には[1]の数字が。そしてその横には[E]の文字もあった
これが何なのかと尋ねてみれば、[1]の数字はステータスを更新した回数で、[E]の文字は戦闘能力のランクらしい
ただ、これはあくまでもゲームとしての数値なので、実際とは違うのであまり気にすることは無いですよとお姉さんは言っていた
だけどこういう所で[A]とかを叩き出したいのが男心ってもんじゃないだろうか?
頑張ればそのうちなるようになるか?そもそも何を基準にランクを決めているのかも知らないが
俺はワクワクとした気持ちで家へと急ぐ。道中で奈々が話し掛けて来た気もするが、あまり覚えて無いのできっと気の所為だったんだろう
新しくなったステータスカードをセットしていざプレイ開始
画面には新しいステータスカードを確認中との文字が。そしてしばらくすると前回セーブしていた所に立つ新しい[俺]の姿がゲーム内に現れた
「きた!明らかに違う!これで勝てる!」
そこには、今までとは明らかに姿の変わった[俺]がいて、前回と比べるまでもなく、明らかに動きやすそうなキャラクターへとなっていた
本当はこのままゴブリン達にリベンジしたい所だけど、ステータス更新をしたら動きを確認しに来いと言われていたのを思い出して、改めて団長の元へと向かう
別に戦いながら確認すれば良いだけかもしれないけど、動きを確認する事は重要であることは俺も理解出来るし、何より俺は石橋を叩いて渡る慎重派だ。お城を目指して走り出す
黄色いバーと緑のバーも明らかに増えている。黄色いバーは前回の2倍程で、緑のバーは1.5倍程伸びている
確かな成長具合を目で確認出来ただけでも、ダイエットとトレーニングの成果が出ている事に喜びを感じてしまう
『うむ。少しは進歩したではないか。それでこそ勇者である。だがまだまだこんな物ではないのだろう?特に最後の一撃はなかなかの物だった。さらなる成長を期待する。………………おめでとう。1度目のステータス更新特典だ、俺から貴様に武器を進呈してやろう。さぁ、何がいい?』
前回よりも手応えを感じた団長とのチュートリアルを終えると、何やら武器をくれるらしい
……なるほど。お金を払ってステータス更新だけじゃ納得いかない人達は大勢いるだろう。だけどこの特典とやらで武器が貰えるのならば、それは所謂課金みたいな物だったと、少しは溜飲も下がる目的もあるのではないだろうか?
団長の前に現れたポップアップ画面から武器を選ぶ。とは言え俺には剣とナックルダスター以外は装備不可なので意味がない
意味が無くても獲得は出来るみたいだから、後々の為に収集することも悪い手ではないだろう。俺はもう武器を変える事はする気はないけど
俺は団長から[鬼教官の拳鍔]を貰う
団長は鬼教官だったのか?と疑問も発生するが、全ての武器に鬼教官の……と付いているので団長がくれる武器全てが鬼教官シリーズなんだろう
[鬼教官の拳鍔]の見た目は、まんま総合格闘技なんかで見かける、指先の開いたグローブだった
もっとゲームらしい、ファンタジーな武器を想像していたのだが、最初はこんなものかと納得する部分もある
次第に見た目も変わっていく事だろう。ドラゴン拳鍔とかあればカッコ良さそうだ
性能は攻撃力+30に、器用さが+5付いている
俺のイベントリに眠っている剣と同様の攻撃力を有していながら、器用さが付いている分こちらの方が良武器だと思う
それに俺の場合は武器を使った方が攻撃力が下がるみたいだしね。単純な攻撃力とは違う結果が見られるだろう
俺は早速鬼教官の拳鍔を装備して、前回と同じようにゴブリンを倒しにいく
街の近くにある森に入るとすぐ目についたゴブリン
俺はわざと見つかるようにゴブリンの前に出て、正面から正々堂々と戦ってみる
幸いにも相手は1体だけ。今の俺の戦闘力を調べるには丁度いい
ゲギャゲギャと棍棒を振り回しながら迫るゴブリンの攻撃を、小回避ボタンで最小限で躱し、拳による攻撃を当てる
剣を振るよりも遥かに速いモーションでゴブリンに命中する俺の攻撃は、その実威力もかなり有しており、弱攻撃の一撃でゴブリンの体力の8割を削り取り、続く2発目で簡単に倒す事が出来てしまった
前回と比べ、かなり呆気ない戦闘だったが、これが成長した結果だと思えば、嬉しく思う気持ちの方が遥かに勝る
戦闘音に気付いたのか、集まってきたゴブリン3体に囲まれるも、1体目を先制攻撃の強攻撃で一撃で倒し、2体目の攻撃を小回避で躱し、3体目の攻撃をガードボタンで防御する
ガードで弾いたゴブリンの攻撃により減った体力は皆無。前は10/1減っていたことからも、防御力も上がっていることが予想出来た
試しにゴブリンの攻撃を受けてみても、体力は20/1程しか減らなくなっている
他のモンスターでは分からないが、ゴブリンの攻撃力に対して言えば、俺の防御力は前回の約2倍に上がっていることになる
そこからは俺の無双状態だった
今までの鬱憤を晴らすかのようにゴブリンを倒し続けた
時折見かけるホブゴブリンも、溜まったゲージを使う必殺スキル[正拳突き]で一撃だった
このゲームでは魔物を倒してもステータスは上がらないし、魔物がお金、(WP)を落とす訳でもない
せいぜいがドロップ品目的や、ギルドの依頼目的で倒す程度だろうか?
しかしドロップ品と言えども所詮はゴブリン。手に入るのは[汚い布]や[棍棒]ばかり
きっと他のプレイヤー達も、レベルが存在しないこのゲームにおいて、わざわざゴブリンをひたすらに狩るなんて馬鹿げた事はしなかっただろう
事実、ネットにもそんなドロップ品があるとの情報は無かった
俺の目の前にあるのは[ゴブリンの魂]
ゴブリンを1000体狩った者だけが得られる超レアドロップ品が、俺のイベントリに収納されたのを確認して、俺は休憩の為にゲームをそっと閉じた
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