第8話 オズとの出会い
「お出かけ、お出かけー」
「アリアちゃん、随分ご機嫌ね。そんなにお出かけが楽しみなのかしら」
「お出かけする度に、世界が変わりすぎて面白すぎるんだもの！ 街だと、もっと変わっているのかしら」
「あ、それと、今日は広場でお友達と会うからねー」
アリアは、普通に２度目の生活を『アジサイ村』で楽しんでいた。
アリアは、勇者だった時に何度かこの村に来ていたようだ。
元々、知りたがりの性格だったため、今はこの村の変化を楽しんでいる。
「友達!? やったー！ どんな子だろうなー」
そうしてアリア親子は、広場へと向かった。
「エリーゼさん、こんにちは」
「ああ、どうもテトラさん。こんにちは」
「この人も美人だけど、お母さんの方が美人だわ」
お母さんが話しかけたのは、『エリーゼ』さんだ。短い赤色の髪でクッキリした顔立ちをしている。お母さんの次に美人だ。
そして、何か疲れたような顔をしている。この子が暴れん坊なのかしら。
「その子がオズ君ね。はじめまして。かわいいですねー」
「ありがとうございます。アリアちゃん、元気にしてたー？ ほらオズ、この子がアリアちゃんよ」
「久しぶりだね！ 元気だったよ！」
「バブバブ（僕はオズ。よろしく）」
「バブ！（私はアリア、よろしくね！）」
赤ん坊同士なのに会話ができるんだね。びっくりだよ。
『オズ』君は、赤色の髪で鼻が高く、目も鋭い。まさにイケメンの顔立ちをしている。
しかし、どこか魔族のような悪い雰囲気もある。
「気になるなー。お話ししてみよう！」
親同士が話している間、オズとアリアはたくさんおしゃべりをした。
「生まれてちゃんと会話したの初めてだよ」
「私もよ。とってもワクワクしてる！」
「何を話そうか悩むな」
「じゃあ私が質問するね。これからどんな風に生活していきたい？」
「生まれたばっかの赤ん坊の質問か？ この世界のこと何も知らないのに、答えられるわけないだろ」
「私の感が間違っていなければ、ここで変な返しが来るはずだね。まあ、私も違うんだけど」
アリアは、自分の思ったことを確かめるために、少し探ってみることにした。
「まあいいじゃん！ 教えてよー。（君の本性を）」
「まあいいか。僕は、普通の人間と同じような生活がしたい」
「普通ねぇ、前世が普通じゃなかったみたいだね。」
変な返しがきたので、これは問い詰めるチャンスだと思ったアリアは、攻めた質問をした。
「もしかして、前世は魔王だったりして？」
「そ、そんなわけないだろ。何言ってるんだよ。そんなことより、アリアはどうなんだよ」
ものすごい動揺を見せたので、アリアは自分の感は正しいのだと確信した。
ここで問い詰めてもいいが、仲良くなりたいので、会話を続けることにする。
「私は、世界の平和を守る勇者になる！」
「す、すごいね。」
「でしょ！ 早く大きくなりたいなー」
「でも、なんでそんなこと知ってるの？」
「えっ、」
アリアは、この不意打ちに動揺を隠せなかった。
「もしかして、私の違和感もバレてるの？ いや、今はそんなことよりも、なんて答えよう」
アリアは、必死になって言い訳を考えた。違和感がないように、そして、赤ん坊らしく。
「そ、それは……お母さんが言ってたのよ！（完璧な回答だわ）」
「そうなんだ。僕も知りたいなー」
「だめ、私だけの秘密だから（私の本性は教えないわよ！）」
そう言って、アリアはえっへんと言わんばかりのドヤ顔をした。
「じゃあ、そろそろ帰りますか」
「そうですね。今日はありがとう。またお話ししましょう」
親同士のお話も終わったようで、家へ帰ることになった。
「また会おうじゃないか！」
「何その言い方。じゃあね。（今度こそ、本性を暴いてあげるわ）」
「2人とも仲良くなった様子でよかったわ」
その日から、お互いがよく会うようになり、仲良くなっていった。
しかし、2人とも何度か問い詰めてみたが、問い詰めたら問い詰められると察し、違和感に対する質問はしなかった。
そして、お互いが諦めたのか、何も考えずに会話をするようになった。
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