異世界っ!

タヒ

第1章


暗い、暗いところにいる気がする。


どこかへと飛んでいっているような感覚がする....




 ......「おはようございます。お嬢様!」


ああ、はい。って、


「はぁっ?!」


どこ?ここ。誰だっけ私?ここはまず、落ち着いて....


そうだ。私は透だった。明日から中学生になるはずだったんだ。


というのも、なんか違うところにいるし。しかも、お嬢さんでもないし。


ここは...もしかして、小説とかでよく出てくる《異世界》ってやつなのかも。


-うーん。ここはここでいいかも。ていうか、ここにいるしかない。


私は少しずつなれていくことにした。


なんとな〜く起きた私は、置いてあった朝食を食べようと思った。


が、「お嬢様!学園に遅れてしまいます!お急ぎください!」と言われ、渋々時間を見ると...


「え?!」あと五分?!これは流石にまずい。急いで玄関に用意してある送迎の車に、乗った。




 キーンコーンカーンコーン....


「間に合った....」と思って教室に行った。


友達が、「ルリア!ルリア!」と呼んできた。あぁ。そうか。私はルリアっていう名前だったんだ...


そう思いながら、外を見ていた時...「2年1組のルリア様!!生徒会室までお越しください!!」


と放送され、友達に聞いて行ってみた。《生徒会室》と書かれた看板があった。


コンコンとノックをして開けてみると...


 「えっ?!」生徒会長なのかも知れないという嫌な予感がした。


机の上に生徒会長、副会長、会計、書記長、などが書いてある。しかし、生徒会長のところだけ空いていた。


「生徒会長、遅かったですね。」と言われ、生徒会長だということが分かった。


私、何やればいいの?わからない。ふと目の前が暗くなった...




どのぐらいの時間が経ったのだろうか。頭が痛い。気を失っていたのだろう。


目を開けて見ると、「え、誰?」目の前には男の人がいた。


「僕は副会長のルシフェル。忘れたのか?」


-あっ。そうだ。私、ルリアだったんだ。


しかし、誰にも転生したと言えないと...このあとがキツイと思う。でも、ルシフェルには言って見ようかな...


「ねえ、ルシフェル。私、ルリアじゃないの。多分転生したんだと思う。」


「じゃあ、もとの名前は?」


「透」


「住んでいたところは?」


「珈琲県桜町。」


彼はふと思い出したような顔をした。


「あ、そこ知っているぞ。」


 「珈琲県桜町、知っているの?。」


「あぁ。俺の友達が、そこへ消えてしまった。」


ん?消えたってことを知っているのはなぜだろう。


「異世界メールって物がある。そこで聞いた。」


「なにそれ?後で詳しくきかせて!今日の16時に家来れる?」


「わかった」




そして16時に家に来てもらった。


「これが異世界メールだ。」そこには、色々書いてあった。


「あっ!これ、みんな珈琲県桜町から来ているよ!」


「あぁ。そうだな。」


珈琲県桜町5丁目、珈琲県桜町泉川、珈琲県桜町ファミリー公園。


全て、珈琲県桜町。しかし、見落としていた。


「これって、珈琲県桜町じゃなくない?」


透が指さしたのは《現在地不明》と書かれたところ。


「っ!これは、もしかして!」ルシフェルが青ざめる。


「大丈夫?どうしたの?」


「あぁ。大丈夫だ。だが、この表示がされていることは普通は...ない。」


え?「理由は2つのうちの一つ。一つ目はこの国にスパイが入って、異世界の壁を壊そうとしているということだ。」スパイが入る?!


「2つ目はこの異世界と地上がつながる、特別な場所があるということだ。しかし、昨年その場所がないかを調べる調査があったのだが、特別な場所はなかったとのことだ。」


それって、大変なことじゃない?


「一般の身分の人はそういうことは言えない。異世界大会議のときだけ発言できる。しかし、その異世界大会議はあと2年後に開かれる。」


もし、スパイが入っているんなら、1年後には壁を壊されてしまう。「それは、間に合わないわね。いい方法はないかしら。」


「一つしか方法はない。」


「何?」


 そのたった1つの方法とは...


「俺達が、地上に降りて確かめる。許可は取れないと思うが。地上に出れる場所はここの王国の地下倉庫だ。」


「じゃあ、どうやって行くの?」


「あと1週間後に異世界パーティーがあったはず。そこに紛れてこっそりと行く。貴族に変身して。」


それから、私たちは作戦を立てた。


作戦は、


①上の方の貴族に変身する。


②パーティーに紛れてこっそり地下に行く。


③特別な場所に行く。


ということが、決まった。




「「さよなら〜」」


ルシフェルが帰ったあと、教えてもらった異世界メールを開いた。


「えっ?!これは何?」


《現在地不明》が増えている。おかしいと思って更新ボタンを押す。


「っ!」


なんと、全て《現在地不明》となってしまった。


ルシフェルに電話をしてみた。すると...


「ねえ、ルシフェル。全て《現在地不明》になったよ!」


「これは、スパイが入りかけているということだ。急いで対応するぞ。自転車で学園前に集合だ。」


「うんっ!」


私たちはすぐに学園前に集合した。


「これからどこへ行くの?」


「異世界の壁。ここから、30分もしないで着く。」




「これが異世界の壁だ。」


「全部見るのは大変そう...」


「心配するな。俺の友達、ミゲール、スバル、サンダルフォン、オリエットにも声をかけて来た。」


「みんなで分割して探すの?」


「そうだ。」


それから、1時間弱私たちは探した。あともう少しでみんなで集まるという時...


プルルル...プルルル...


「サンダルフォンからだ。」ルシフェルは急いで携帯を取り出す。


「え。なんだって!見つかったのか?」


「ユーマグナロードか。行くぞ。」


私達は急いだ。


ユーマグナロードについて見てみると...


本当だ。よく見ないと見逃してしまいそうな、人が一人通れるくらいの大きさの穴が空いている。


パチパチとキーボードを打つ音がする。


「誰か分かったよー穴開けた犯人。ユイトだってさー」とミゲール。


やばくない?ユイトって。私でも知っている異世界で最も有名なスパイだ。


サンダルフォンは、PCでユイトの位置情報を調べている。


スバルはユイトを追いかける作戦を、オリエットと一緒に立てている。


私は、ルシフェルとリュックなど、数日間出掛ける用意をした。


「今日の夜8時学園前に集合な。」


私は家に帰って夕飯を食べたあと、急いで出発した。




私がついて数分したら、みんなが学園前に集合した。


「行くぞ」


「「はい」」


みんなは、異世界の壁を壊したユイトのいる場所へ行った。


辺りを見渡すと、そこは森だった。


木が茂っていて、クマが出たといってもおかしくない所だ。


「本当にこんな所にいるの?」と小声で聞くと、


「そうらしい。」とルシフェルから返事が返ってきた。


ガサガサという物音にもびっくりするほど静かだった。


しばらく進むと小さな川があった。


「泳いで行ってもいいが、流れが速そうだ。橋をかけよう。」


それから、みんなで協力しようということになった。


「絶対に一人で行動するな。二人以上で行け。」


私はルシフェルと一緒に橋を固定する縄を、


橋の材料となる木はミゲールとスバルが、


みんなの荷物はサンダルフォンとオリエットが守っている。


しばらく経って、「うぎゃぁぁ!」と叫ぶ声が聞こえた。


「見て来るからそこにいろ。」何が起こったのだろうか?


ルシフェルが走っていくと同時に眩暈が起こり、その場に倒れこんだ。


気付いた時には、閉じ込められていた。


多分部屋の作りからよると、ユイトの手下に閉じ込められたのだろう。


結構くらくらする。何か薬を使ったに違いない。


「どうするんだよ?この二人。」


ん?二人?


ゆっくりと後ろを見るとルシフェルが!まずいな。起こさないと。


「ルシフェルっ!起きてっ!」


「ぅ~ん...どうした?」


「ユイトの手下につかまったんだと思うの。」


どうすれば逃げられるのだろうか。


「ルシフェルは二人の後ろに回って。」


そうだ!昔習った合気道を使えばいい。


「私がルシフェルと呼んだら後ろから二人を捕まえて。」


「わかった。」


私はドアの近くまで歩いて行って、大声で叫んだ。


「ちょっと!何してるのよ!」


「お前ら、起きたんだな。」と二人が振り向く。


ルシフェルが二人の後ろに回ったのを見てから叫ぶ。


「ルシフェル!!」


叫ぶのと同時に身体が動く。


使っていなくてもちゃんと身体が、覚えている。


伸ばされた手をかわして相手の後ろ首を掴んだ。


そして顎に腕をかけて、思いきり後ろに倒す。


ドン!という大きな音と少しの砂埃。


ルシフェルの方も後ろから拘束してくれたようだ。


「大丈夫か?」


「うん。」


奪われた荷物を持ってきた後、二人に聞いた。


「ユイトはどこにいるの?」


二人は一旦黙った後、口を開いた。


「ユイトは珈琲県桜町か、フォニックロードのパン屋にいると思う。」


「珈琲県桜町か、フォニックロードのパン屋か。」


ルシフェルは異世界メールで珈琲県桜町を探してくれる人を探して、


私は携帯で連絡を取り、パン屋を調べてもらうことにした。


しばらくして…


「いたぞ!」というスバルの声が、トランシーバーから聞こえた。


急いで、ルシフェルとフォニックロードのパン屋に向かった。




みんなはもう既に公園に集まっていた。


「みんなであの店に乗り込もう。」とスバル。


「「OK!」」


「でも6人いるから、力のあるルシフェルとスバルが乗り込んで。


そして、オリエットとミゲールが逃げようとするユイトを追いかけて。


最後に、ルリアとサンダルフォンが防衛隊に知らせに行って。」


「よし。それでいこう。」


トランシーバーがピコっと鳴った。始めの合図だ。


透はすぐに、バイクに乗って防衛隊のところへ行った。


ルシフェルside


「はじめ。」


トランシーバーに向かってルシフェルは言った。


ルシフェルはお店のドアを思い切り開けた。


そこには、ユイトらしき人物が座っていた。


「お前がユイトだな。」


その一言を聞いて、店の中にいた男の表情が、凍り付いた。


「そ、そうだが。」


明らかにうろたえているのが分かる。


「異世界の壁を壊したのはお前だな。」


その一言を聞いたユイトは立ち上がり、ドアの方に走っていく。


でも、ドアの影に隠れていたスバルに捕まえられてしまった。


しかし、捕まえられたユイトは、スバルを振り切って逃げた。


「しまった!」


外を見るとオリエットとミゲールは、自転車に乗っている。


もう追いかける準備はできたようだ。


透side


バイクに揺られてだいぶ経った頃、大きな建物が見えてきた。


「これが、異世界の防衛隊?」


「そうだよ。」


サンダルフォンは走ってその中に駆け込むと、すぐに出てきて、


「行くよ!」と言ってバイクに乗った。


後ろからは防衛隊の大きな車が来ている。


「降りて。これから、ユイトを逃がさないようにするよ。」


そう言われて前を見ると、数百メートル先に誰かが走っている。


サンダルフォンがその人影に走っていくのを見ながら、ルリアは


呆然と立ち尽くしていた。


気が付いたら「ぎゃぁぁー」という、声が聞こえた。


顔を上げて見ると遠くでユイトにやられた、サンダルフォンがいた。


そして透は思った。「自分が行かなくてはいけない」と。


そう思うと共に、身体が動いていた。


ユイトの方に走っていき、思い切り足を振り上げた。


ルシフェルside


急にルリアが走ってきた。


「危ない!」という前に砂埃が立ち上がり、ユイトが宙に浮いた。


何が起こったのだろうか。


ふとやられた、サンダルフォンの方を見ると。


「大丈夫?!」そう言っている、ルリアの姿があった。


「ルリアが?!ユイトを倒したのか?」


「そ、そうみたい。」




透side


私はユイトを捕まえたということで有名になった。


豪華なパーティーも開かれ、町中が大騒ぎだった。


でも、私は地上に戻れないのかもしれないという不安で、


パーティーが楽しめずにいた。


パーティーが終わり、うちに帰って寝てしまった。と、その時...


また、最初の時のような、どこかへ飛んで行くような気がした。




「おはよう...って。えぇ?!」


ここは...いつも過ごしていた、地上?確かに地上だ。


ここに帰ってから思ったけど、異世界が少し寂しいなぁ。


あ。でも、異世界メールがあったっけ。


私は異世界メールに打ち込んだ。


「ミゲール、スバル、サンダルフォン、オリエット、ルシフェル。


ありがとう!また会おうね!」と。

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