第44話 連戦①


足をプルプルと震わせてなんとかアルツハイマー伯爵は立ち上がった。


「ききさまあ、ガフッ。」

口に血が溜まり詰まったようだ。


「ふふふ不意打ちとは卑怯ですよ。こここれでも食いなさい。」


『マインドコントロール』とアルツハイマー伯爵は叫んだが、特に何も起きない。


「なななぜ、私の精神支配が効かないのです?!」

「精神支配攻撃だったんだ? ダンジョンでリッチの布から下着作ったからなあ。これには精神攻撃耐性あるからお前の貧弱魔法は効かねーよ。」

 

そう言い終わると俺は、電光石火の拳でアルツハイマー伯爵の腹を殴っていた。

アルツハイマー伯爵の体はくの字に曲がり苦しそうにしている。


「やっぱり、弱いね。」

「……おおおお“お“まえ、ヨグも私に二度も攻撃を。」


なんか怒ってるけど大したことないよな。俺が強くなり過ぎたのか?


アルツハイマー伯爵は『マリオネットコントロール』と叫ぶ。

あれ、なんか体が動かないんだけど。

「おおまえの体は、わわたしが支配した。ももう、お前は終わりだ。」

「くそ。体が全く動かない。」

精神系魔法じゃないのか。頭から上以外は全く動かない。

マリオネットって操り人形か。糸か何かか?

「ふふふふ。わわ私の魔力の糸であなたの体は動きませんよ。」

「へー、弱いくせにいいスキル持ってるな。」


さて、困ったなあ。とりあえず力のありそうな阿部の職業に模倣するか。

『猛者』に模倣をして全力で体を動かそうとしたが、

ピクリとも動かない。


「ちちちみは変わった職業をしているね。ふふ複数職業が使えるんだね。めめ珍しいから奴隷にしてあげるよ。その前に大人しくしてもらわないとね。」


数十の電気の玉がアルツハイマー伯爵の周りに浮かび初めた。

『サンダーボール』と唱えると俺に全ての玉が向かってきた。

皮膚に触れた部分から全身に痺れるような電気が走る。

「くっ。」

体が硬直して声もでない。

 

美香が俺を気にしていた。

「流星大丈夫?!」

その隙を狙いデカルタは盾で美香を飛ばした。

美香はテントのあるところまで飛ばされてしまった。


「おまえ!」

俺は『模倣分身』で優奈を模倣した分身を作りだして、分身でアルツハイマー伯爵を殴りつけた。

右拳、左拳、蹴りと激しい連続攻撃で骨が見たことない方向に曲がり、最後は踵下ろしで地面に叩きつけた。

アルツハイマー伯爵は白目で、口からは泡を吹いている。

優奈と違い回復を入れていない『悶絶拳』だ。

骨は折れまくっているだろう。

俺にかけられていた『マリオネットコントロール』はいつの間にか解けていた。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る