選択肢防衛戦線
柴犬美紅
世界背景を知りたい第一部
第1話 とある日、前置きのご挨拶
善と悪、人間は生きているとこういう言葉によく遭遇する。
普段は意識しないけど天秤にかけて局面ってあるよね、しかも2つの善悪の心が語りかけてくる感じ。その選んだ結果が意外にも良かったなんてこともあったり、なかなかどうしてうまくいかないなんていうこともある。結果の良し悪しが善悪で逆になったりすることもあるから、どっちに偏ったら正解かなんて一概に言えないところとか儘ならない。それでも考えていくことを選ぶのが、僕ら人間が人間らしく生きることに必要なことだったりするんじゃないかな。
さて、その善悪を象徴する存在と言えば天使と悪魔を思い浮かべる人が大多数じゃないかな?彼らは死後の人間を自分達と同じにするために様々手を使って導いていくのがお仕事だからね、どっちかの行動を多くしてほしいと思うのは当たり前だと思う。それで度々争うのも仕方ない。人間とはこうあるべきだという主張、譲れないものはある。それは僕らだって同じことだし天使だから悪魔だからと否定してはいけないよね。
僕は正直天使と悪魔の争いは勝手にしてて構わないとは思うけど、自分達の正しさを主張したり証明するために、僕ら人間にその主張を押し付けたり自分達の道へ引き摺り込もうとするのは、やめるべきだと思うんだよね。
具体的にどんなことをするかって知りたい?洗脳したり大規模な事故起こしてわざとターゲットの人生歪ませて、その選択しかさせないって言う具合で、これはあまりにも度が過ぎている。けれどそのどうしようもない事象を回避できる術なんて、普通の人間は持っていない。
これは、そういうことを天使も悪魔もやらかす事情が背景にあり、人間が生まれながらに持つ人生の選択路が脅かされている中、そんな連中と渡り合える力を持った僕ら【アルカナ(切り札)】が送っている日常の一連の物語である……っていうツカミでオッケーかな?
じゃあ、改めてようこそ、悪魔と天使、あるいは両方から狙われて逃げる羽目になった人達が基本的に逃げ込む僕らの世界、【中立世界】へ。ああそうそう、こっちの戦争に巻き込まれることはないから安心してね。
僕は心愛。え、名前と一人称が一致しないって?ある風習で男言葉が残っちゃってて、自分を僕って言った方がすごい言いやすいのもあるんだ。聞き苦しかったらごめんね。そう、女性です一応。
そこは些細な問題だから置いておいて、今見ている門だらけの風景でわかるように他世界の来訪者を見定めて移民の受け入れを担う門番をやっています。うん、たまにいるんだよね、人間を装って此処を通ろうとする悪魔とか天使とかが。そういうの入れちゃうと後々面倒だから、どんな事情でもすんなり入れてあげることは出来ないんだ、ごめんね?
ん?僕のところにいる2人は何って?ええとね、僕の大事な人達。ただ僕の魔法の性質からきている立場上、使い魔として表現するね。
1人はタケルさん。真名、もとい本名は別にあるんだけど、僕が使い魔として契約をした際に付けたのがタケルなんだ。深い意味はないよ。
見た目炎みたいにツンツンに逆立てたオレンジ色の髪に、太陽をそのまま写したみたいな明るい金色の目、すごい怖く見えるかな。まあ、いつも好戦的な色を湛えているしねぇ……実際喧嘩っ早いから止めるのが大変だったりする。
ああ、使い魔と表現しているように、彼は人間じゃない。正体は別にあるけれど君が知る必要はないから、隠させてもらうね。
もう1人は名留【ナル】ちゃんという、彼女の名前もまた僕がつけた仮名。いっそ潔いくらい真っピンク色の髪をツインテールでまとめている。目の色はその暖色と真逆の寒色、何とブルーサファイアのように綺麗な藍色なのだ。凄くぱっちりとした大きな目だから余計綺麗に見えて僕は好きだったりする。後すごく目立つ特徴として、悪魔らしく羊の角が生えていて、くるっと先が巻いてあるところがより羊っぽいなーと思うのは僕だけじゃないはず。
そうそう、僕が知る限りの女性の悪魔は身体が魅力的なのが多いしそういった衣装を着ているのだが、名留ちゃんも例に漏れずそう言うタイプ。しかし自分の可愛らしさを強調するような身体のラインがはっきりしている黒いロリータ調の服を着ている、見た目すごくふんわりした感じなの……だが、タケルさん曰く『色気やらはあまり感じない残念ボディ。』とのこと。特に視線は女性が油断したらすぐ増えるような部分(お腹)と女性が気にしてもなかなか増えない部分(バスト)に行っていたのだが……これ本人に言ってないよね?言ってそうだけど確かめる術はないからこれも置いておこう。
ああ、ごめん話が長くなったね。さあ本題に行こうか。
君は、君達は何を目的に、何を求めて此処にきたのかな?
全ての真実を語れた時、僕ら【アルカナ】は力を貸そう。
「さあ、ご用件をどうぞ?」
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