○11

【――しかし、ふむ。なかなか楽しそうな結果に仕上げたな、君は】

【でしょ~。ニムナの妨害が入った時はどうしようと思ったけどさあ】

【あれはむしろ私の行動こそが正しいと信じていますが。強引すぎるのです】

【その割には、君の目的を果たさせるために必死じゃないか、貴殿は】

【……これをしておかなければ、私に被害がくるのです。不本意ながら】

【まあに~。こればっかりは、妾たち全員に実害と利益のあることだしね。少しでも協力しなきゃ。妨害するならそれもまた面白いってところよ】

【ミナヤ。そういった理由でニムを選出するのはお止めなさい】

【いいじゃない別に。どっちんしろ、城の管理をする人間は必要でしょ。必要最低限以上な能力を持って、且つ国益のある人間。最高じゃない。あのジュ・ヤミって子は】

【喧嘩ならよそでやってくれ。我の生活居住空間を荒らさないでくれよな】

【まあまあトイチ。美人に荒らされるなら、男として本望じゃない】

【ふむ。それは一理あるな】

【自らで美人と名乗る莫迦がどこの世界にいますか】

【だってー妾ぁ、全てが最強な人間として産まれたんだもーんー】

【……はあ。こうなってくると、二十歳のミナヤですら、まともに思えます】

【確かにな。我とてそう思うのだから、世界のほとんどの人間がそうなのだろうよ】

【たった二人が人類の代表面しないでよ。この年増】

【それを言ったら、自分に返ってくることをお忘れですか?】

【…………ぐ】

【ふむ。帰飛刀という武器を御存じかな?】

【なによそれ。聴いたことがないわね】

【我たちが若かりし頃の時代では、それをブーメランと呼んでいたがな。投擲用の武器だ。簡単に説明すれば、投げたら手元に帰ってくる武器なのだよ。もっとも、帰ってくるものは儀式や玩具にしか使われんが。君は今、帰飛刀の帰りの部分に直撃したな】

【聞いたところによると、武器として用いられる物は大型の動物すら気絶させることが出来るようで。ミナヤ。貴方は武器用のものを無理やり帰ってこさせたようですね】

【気絶してないっつーに。そこまでダメージないし。とーか、なんでトイチはともかく、ニムナまで知ってるのよ】

【ミナヤがそういう風に私を弱体化させたのでしょう。魔を使わない代わりに、技を使うように、と。おかげで私は、小手先だけでミナヤに対抗しなければいけないのです】

【貴殿を神と崇めている国もあるというのに、その神自身が技を否定してよいのかね?】

【かまいません。どうせ人間なぞ絶滅しなければいけない種なのですから。そんな下等なものに軽蔑されたとて、結果として行き着くところが同じならば、なんら問題はありません】

【本当、君たちは両極端だな。片や人類全てを生かし、片や人類全てを殺す。そんな考えの持ち主が、十歳同士、十五歳同士だけとは言えな。ふむ、都都逸にしてみようか】


仲良きことはよろしいところ、喧嘩をするのも仲のうち


・・・

・・

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