第2話 人?助け
あのよくわからない手紙を読み始めてちょっと経った。頭の中に手紙の内容がくっきりと残っている。読み終えた手紙は塵となってどこかへ飛んで行ってしまった。
あれはどういうことだ?
まず、頭の中に直接言葉が響いていたのだが、何1つ状況が理解することができていない。
そして、あの手紙の中で僕が思ったことが自称”神”に伝わっていた。
なので僕が疑問に思ったことすべてに自称”神”が答えてくれていた。
さらに自称”神”が魔族とか魔法なんて単語を言っていたのでおそらくこれは、異世界転生といういわゆる今流行りの現象なのだろうな。
そしてここは日本でも地球上に存在しない違う世界の大陸ということなのかな?
まあとりあえずあの人が言っていた〈ステータスオープン〉という技?をつかってみよう。
「〈ステータスオープン〉!」
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名前:ババ リュウジ
種族:人間族〈ヒューマン〉 16歳(仮)
職業:なし
固有スキル:【曇りなき目】…対象のものが偽りのないものかどうかを見極めることができる。
スキル:鑑定10…対象のものがどのようなものでどういうことが出来るのかなどを調べることができる。
算術6…足し算、引き算、掛け算、割り算を頭の中で一度に最大6個計算することができる。
収納5…異空間に物を収納することができる。(50m×50m)
対象の名前と個数を言い、〈取り出し〉と言うと出てくる。
武器:なし
防具・上:赤いジャージ・上
防具・下:赤いジャージ・下
アクセサリー:なし
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ほう。
ほうほう。
これはどう見ればいいんだ? 明らかに戦闘向けではないだろ。
いやね?確かに自分のお店を開くのが夢だったよ?
でもさ、こういう異世界転生物って俺TUEEEEEEで無双していくのがお決まり
じゃない?ちょっとテンション下がるなぁ。
トホホ……
少し落ち込んでいたがこうしている場合ではないと思い、町を探すことにした。
ずーっと続く草原を進み少し疲れを感じた頃、少し遠くから叫び声のようなものが聞こえてきた。
何だろうか?僕はどんなものに出会えるのかワクワクしながら歩くスピードを徐々に上げていった。
◆
少し歩いていくと大きな岩が見えてきた。
それにつれて叫び声も大きくなっていく。
あれは誰が挙げている声なのだろうか?そう疑問を持ちながらその岩の近くまで寄ってみると、急に緑色の人影に囲まれた。
「グギャア?」
「グギャオ?」
ヤバい。なんて声を掛けたらいいんだろうか。全然わからない。
「ハ、ハロ~。ナ、ナイストゥミ~トユゥアンドユゥ?」
こ、これで通じるか?
「グギャ?」
はい!ダメでしたー!
安直に『異世界だから英語とかじゃないと通じないんじゃね?』とか思ってた僕がバカでしたー!
どうしようこの状況?
「グ、ソ、ソコニダレカイルノカ?ダナ」
お?片言だが言葉か通じている人?がいたぞ。
あれ?でもどこから話しているんだ?
「あの~。どちら様でしょうか?」
「グ、ヤハリソゴニダレガイルンダナ。タノム、コノイワヲドカシテクレナイカ?ダナ」
え?この岩?この推定3mはあるかもしれないというこの岩を?
無理無理無理無理!これまで17年間生きてきて走り込み1.5㎞で疲れている僕にはこんな大きな岩持ち上げられないって!!
あれ?そういえば僕のステータスに〈収納〉っていう能力があったような?
それでこの人?を助けることができるかもしれないぞ?
「【収納】!」
少しあたりが明るくなった後、大きく存在感を放っていたあの大きな岩がきれいさっぱりなくなっていて、頭の中に(大きな岩【鉄鉱石・石炭を含む】)という言葉が流れ込んできた。そして大きな岩があった場所から筋肉ムキムキの緑色の大きなゴブリンが出てきた。
「フー。タスカッタンダナ。ドウモアリガトウゴザイマス、ナンダナ」
その筋肉ゴブリンが立ち上がると、周りに隠れていたであろうたくさんのゴブリンがその大ゴブリンにワーッと駆け寄ってきた。
「グギャーオ!グギャーオ!」
「グギャギャギャギャ!!」
言葉を理解することはできないが、なんとなく再会を喜ぶ親子のように見えてきた。
「グギャ、オデ、オマエノオカゲデタスカッタンダナ。オマエ、イマカラオデノシンユウナンダナ!オデ、オマエノヤクニタツンダナ!」
「え?いいの?やったぁ!この世界で初めての友達だぁ!」
前の世界では小学校の頃に出来た友達とずっと絡んでいたので、新しい友達ができなかったのだ。
しかーし!新しい世界ではこんなに早く友達ができたんだ。軽ーく100人は友達を作りたいな!
『『目標”異世界最初の大親友”のクリアを確認。その報酬として対象に【言語の統一】を施します。』』
突然頭の中に無機質な声が響いた。何だ?ミッション?言語の統一?
よくわからない単語がたくさん出てきたがこれはいったいどういうことだろうか?
「親方ぁ!!おめでとうございます!」
「やっと唯一無二の親友をお持ちになられたのでやんすね!」
今まで何ひとつ理解できなかったゴブリンたちの言葉がわかるようになっていた。
おそらくこれが言語の統一という物の影響なのだろう。僕が聞き入れた言葉が僕の中ですべて統一されるといったところだろう。これは結構便利なのではないか?
「おまえ、名前なんて言うんだな?」
おお、大ゴブリンの言葉もすらすら聞こえるようになったぞ!
「僕の名前は龍二。馬場龍二だよ!」
「リュウジ!おで、その名前覚えたんだな!一生忘れないんだな!」
「君の名前はなんていうの?」
「………名前?おでたちには名前なんてないんだな。それが普通なんだな。」
え?名前無いの?それじゃあ不便じゃない?絶対に不便だよ!
「じゃあ僕が君に名前を付けるよ!名前を僕たちの親友の証にしようよ!」
「ぎ?親友の証……。とてもいい案なんだな!早速つけてほしいんだな!」
そうだなぁ……。ゴブリンといえばこれ!みたいな名前じゃないのを付けたいな…。
うーん…。うーーーん…。むむむむむ……。あっそうだ!
「今から君の名前は『マサオ』だ!」
「マサオ…。いい名前なんだな!おで、とっても大切にするんだな!」
………某アニメに出てくるおにぎり頭のあの方だと思ってしまったことは内緒にしておこう…。
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