鉄の女とあだ名される学級委員の少女と、彼女のクラスにやってきた学校生活補助ロボット『アオハル』のお話。
SF的な設定が光る、青春ものの掌編です。
成長期の主人公の心に芽生えた、うまく名づけることのできない未知の情動を描いた物語。
恋愛感情を主題にしているものの、ジャンルとしての「恋愛劇」というイメージとは少し違うかもしれません。
ただ、であればこそ間違いなく、恋愛ものの好きな人には刺さるお話だと思います(ブッ刺さりました)。
描かれた青春の風景がとにかく甘酸っぱくて……という感想は嘘ではないのですけれど、でもなにより好きなのはその自然さ。
大袈裟だったりお仕着せっぽい感じがまったくなく、主人公の思考や価値観の射程にしっかり収まる形で流れていく物語。
それを綴る細やかな文章の、そのみずみずしい手触りが本当にたまりません。
これ以上は本当に蛇足というか、あまり多くは語りたくないタイプの作品。
とっても面白い物語でした。本当に良かったのでぜひ読んでみてください。