シナガワダンジョン

僕はこの世界の言葉がわかるし、しゃべれる。文字も読める。

これは『神域の鍵』の効果らしい。

ウィルツーのおかげだ。

至れり尽くせり。

僕が困らないように工夫してくれている。

有難いね。



買取り店はすぐに見つかった。

と言うか、いっぱいあった。

どのお店が良いのかわからない。


ダンジョンの周囲にはダイバー向けの施設がたくさんある。

買取り店、

販売店、

飲食店、

宿泊施設、

などなど。


本に書かれていたのは、

ダンジョンは元々もう1つの異世界の影響が強かった場所をウィルツーがダンジョンに変えたらしい。

その時に元々の住民は避難したらしい。

そして、ダンジョンが安定して、

最初にダイバーが集まり、

そのダイバーを対象にしたお店が集まった、

という経緯があったと書かれていた。




どうしよう?

とりあえず入ってみるか。

近くにあった

『ゴールデンアウル シナガワ店』

というお店に入ってみた。


「いらっしゃいませ~。

こちらへどうぞ。」


カウンターが6つ並んでいる。

壁際にはアイテムや武器が並べてある。

その1つにいたお姉さんが声をかけてきた。

10歳ぐらい年上かな。

茶色いロングヘアーのキレイなお姉さん。

名札には『アカギ』。


「今日はどうされました~?」


「魔石とポーション、素材を売りたいんですけど。」


「買取りですね~。

お見せ頂けますか?」


僕はマジックバックから魔石をどんどん出していく。素材もね。最後にポーション。

お姉さんが次々チェックしていく。


「少々お待ちくださいね。」


魔石はどんどん目の前の装置に入れていく。

ポーションは瓶を開けて、スポイトで別の装置に1滴垂らす。

素材は目視でチェック。


その装置を見て、

「魔石は全部で5,500エン、

素材は720エン、

ポーションは5,000エンになります。

買取りでよろしいですか~?」


「お願いします。」


こうして11,220エンを手に入れた。

早速、夕食と今日の寝床を確保したい。


宿は1泊素泊まりで6,000エンだった。

夕食は1,200エン。

ハンバーグにした。

味は実家より落ちるけど、学校の食堂よりは美味しかった。

朝食はパンとジュースで400エン。

合計7,600エン。


残ったお金でお弁当3つとパンを購入。

これで2,000エン。

この食料で今日は朝から1泊2日で、ダンジョンに潜ろうと思う。

お弁当は電子レンジで温めた。

マジックバックなら冷めないので明日の昼でも温かいままだ。

便利だね~。



ダンジョンには朝からいっぱいダイバーがいた。ガヤガヤとしている。

僕は無視して中に入っていく。


今日はもう少し奥に行きたい。

特に地下3階までは駆け抜けたい。

人が多過ぎるからね。

今日の夕方ぐらいまで潜って、ダンジョン内寝て、明日の夕方帰ってきたい。


地下4階以降はほとんど人がいない。

戦い方も慣れてきた。

ついにスキルストーンも手に入れた。

最初に手に入れたのは

『素早さ上昇 レベル1』。

少しだけ素早さが上昇する。

ほんのちょっとだけど、素早さの上昇を感じた。


地下13階まで行けた。

モンスターはまだまだ弱い。

そして、夜になる。


普通はピンのダイバーは夜になるまでダンジョンにはいない。

なにせ、ダンジョンには安全な場所が無い。

そのため、眠る為には見張りを立てる必要がある。だからプロダイバーはチームを組み、交代制で休息をとるようにしている。


でも僕にはおじいさまの便利アイテムがある。

『ワンタッチテント』


一瞬で広がる小さなテントだ。

3~4人入れるかな。

凄いのはその防御性能だ。

おじいさまの説明書を読むと、

隠ぺい効果があり、モンスターには見えないらしい。しかも周囲に結界を張ってくれる。ドラゴンのブレス程度ではキズ1つつかない強度の結界だ。それにそもそものテントも非常に強度が高い。ゴーレムが踏んでも壊れない。

あり得ない性能だね。


それに『伝説の水筒』。

水がエンドレスに出てきます。

飲んだり、体を洗ったりも出来る。

水に困らないのは非常に助かる。


『永久コンロ』

小さな1口コンロ。

いつでも、どこでも、何度でも、

火が点くし、すぐに消せる。


これらの便利アイテムがあるから、ピンでも全然困らない。

テントでしっかり休んで、明日も頑張ろう。

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