カンロ決戦

●ブルーノ国王サイド

「ここからどうすればいい?」

ブルーノは傍らにいるウィルに質問した。

「おそらく明日ドルマ帝国軍との決戦になる。

兵士の数は互角だけど、向こうは敗戦直後でボロボロ。

こっちは士気も高いし、敵の背後を傭兵団が攻める。

普通に戦えば勝てるはずだよ。」

「だが私は実戦経験も無ければ、兵士も寄せ集めだ。帝国軍とは練度が違うだろう。」

「それだけ冷静なら大丈夫だよ。

負けないように私の部下を300人ほどブルーノ様の直轄部隊に加えています。

国王陛下が先頭に立って戦えば勝利は間違いなしです。」


ニコリと笑うウィルと嫌そうな顔をするブルーノ。


「こんな目立つ鎧を着て最前列で馬上にいれば目立ち過ぎるだろう。

集中砲火に合うぞ。」

「それが狙いです。私の部下のところに相手の精鋭をぶつけて貰いたいんです。

分散されると戦いにくいので。」

「陛下にもしもの事があったらどうする気だ!」

「これから行うのは戦争です。

そこらじゅうに『もしも』が転がっているよ。

死ぬ覚悟、殺す覚悟、どちらも必要です。」

「わかっている。

生きて英雄となるか、死して暗愚と罵られるか。

安穏は既に手放した。」

「良い覚悟です。

明日はその気持ちで兵を率いてください。

皆の象徴となり、皆の希望となる。

周囲を鼓舞し、自身の弱気を決して周囲に悟らせない。

そういう行動をお願い致します。」

「わかった。明日はカンロ連合王国の歴史的な1日になる。マーズもともに来てくれるか?」

「御意。後ろはお任せください。

ブルーノ陛下が栄光を掴み取る瞬間を間近で眼に焼きつけます。」



そして翌日。

ブルーノ国王軍とドルマ帝国軍が対峙した。


●キョーイ将軍サイド

「勇敢なる帝国の精鋭たちよ!

これから行うのは戦争ではない!

一方的な蹂躙だ!

相手は寄せ集めの烏合の衆。

我らが必殺の一撃を受け止める力は無い!

今までの鬱憤を晴らす。

我々は強い!

正面から戦って我々を止められる軍などどこにもいない!

者共!

突撃だ!」



●ブルーノ国王サイド

「カンロ王国の英雄たちよ。

時は来た。

帝国軍は王国を我が物顔に荒らし回った。

我々の故郷は我々の手で取り返すのだ!

正義は我らにある。

無法者たちを討ち滅ぼす!


カンロ王国の英雄たちよ。

時は来た。

我に続け。

勝利は目の前だ。

ともに栄光を掴み取るのだ!

我に続け!

そうすれば勝利まで導いてやる!

いざ行かん!」



●キョーイ将軍サイド

「相手はティンバーレイクです。

カンロ連合王国の国王が直接率いているようです。」

「なるほど。

お飾りの国王を担ぎ出し、兵を募ったのか。

寄せ集めを率いる象徴か。

金色の派手な鎧を着て、戦場を知らないらしい。

英雄部隊を向かわせろ!」



●ブルーノ国王サイド

「敵の精鋭がこちらに迫っています。」

「私が討つ!

皆の者、続け!!」

ブルーノが騎馬で駆け出す。

ウィリアム騎士団のメンバーが周囲をかためる。いつもの赤鎧は封印し、ブルーノの配下のフリをしている。

徒歩だが馬よりも速い。


ブルーノたちに帝国の英雄部隊が迫り来る。

黒い塊に挑みかかるブルーノ。

そして

激突、、、



●キョーイ将軍サイド

「な、何が起きている!?」

「英雄部隊が負けています。。。」

「あり得ない。。。

あの英雄部隊が歯がたたないだと。」


ブルーノに迫った英雄部隊がウィリアム騎士団たちによって粉砕されていく。

ブルーノも槍を振り回し大暴れしている。


ブルーノの装備はウィルの特製だ。

鎧は金ピカでやたらに目立つ。

槍も金色。装飾もあり実用的ではない。

悪目立ち装備だが、ウィルの特製品だけに性能はバッチリ。

超国宝級の装備だ。

槍は敵兵も鎧ごと断ち切れる。

鎧は敵兵の攻撃を簡単に弾き返す。


そしてウィリアム騎士団はドルマ帝国の英雄部隊を圧倒する。

当然である。

英雄部隊は標準職レベル40相当。

一般的な兵士がレベル10程度。英雄部隊の強さがわかるだろう。

だがウィリアム騎士団は上級職レベル55が平均である。

標準職レベル40は上級職で言うとレベル25相当。その差は歴然である。

ウィリアム騎士団300名いれば英雄部隊700名など敵ではない。


戦いの開始直後に英雄部隊は壊滅した。

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