強化合宿

そして翌日。


「やったぞ~!」

「勝てましたわ!」

「成長できたってことかな。」

「何回か危ない場面は何回かあったけど、しのぎきれたね。」

「俺がクラリス様の前に立って銃を連射したのが良かっただろ♪」

「前半はミスが多かったけどな。」

「クラリス様と私の連携が一番モンスターを倒していましたわ。」

「エリュートロンのおかげで狙いやすかったわ。」


みんな勝利の余韻に浸って、ハイテンションだね。

「やったね。でも、休憩の後にもう一戦やるから、しっかり休んだ方がいいよ。」

僕がにっこり笑うと、みんなの顔が引きつった。

「マジか!」

「当たり前だろ。たった一戦で終わるわけ無いじゃん。慣れてきたら、1日3戦ぐらいしたいと思ってるよ。」

「ウィルってかなりスパルタだよな。」

「当たり前と思っているところが厄介ね。」

「それがあの異常な強さの理由なのでしょうね。」



2戦目。

・・・失敗。


戦闘の途中でカレンとエリュートロンがお見合い。

動きが止まった2人の中間付近のモンスターたちがすり抜け、クラリスたちに殺到。


サポートに入ろうとキース、リディアが駆け出す。レオンが盾になろうとクラリス、モーリンの前に立つが、逆にクラリスの魔法の邪魔になってしまう。

結果、後衛の3人を含んだ乱戦に発展。

クラリスたちを乱戦から引き出すことができず、危険な場面になったために、カシムが介入。

あっさりと後衛3人を守って安全なエリアまで後退。

その後はカシムの助け無しで倒すことはできたが、実質的に敗北の内容だった。



「ごめんなさい。私のせいです。」

カレンが頭を下げた。

「いや、私の失敗だ。カレンに近寄り過ぎたわ。」

エリュートロンも名乗り出た。


「それだけじゃねぇよ。俺もクラリス様を守ろうとして、逆に邪魔になってたし。」

「そもそも前衛を抜かれた場合の対応を決めてなかったのが失策でした。」


「そうだね。すべてを想定することはできないけど、幾つかのパターンを決めとけばいいと思うよ。」


「そうね。夕食の後にミーティングをしましょう。明日は自力で倒しましょう!」


それから毎日、

午前中は勉強。

午後はダンジョン。

夜にミーティング。

それの繰り返し。


そして1週間。

適正レベル15、20と続々とクリア。

みんなのレベルも20を超えて、ある程度揃ってきた。


「今日は適正レベル25にチャレンジしてもらうね。今回からは僕も参戦するよ。ただ皆と連携して動く訳じゃなくて、襲ってくるモンスターを減らすって感じかな。」


「それじゃ、始めようか。」

モーリンが『ホーリーサークル』を投げる。

光の柱がモンスターを飲み込む。

真っ先にウィルが飛び出す。

襲い来るモンスターをスルスルとすり抜けながら、どんどん『眠り』の状態異常にしていく。

『眠り』は簡単に解ける状態異常だから、時間差を作るのには最適かな~、と思ってる。


みんなのところにいくモンスターは今までより確実に少ない。

でも、苦戦している。

1体1体のモンスターが確実に強くなっている。しかも遠距離攻撃や属性攻撃をしかける厄介なモンスターも混じっている。

モンスターの遠距離攻撃が加わることで後衛を守ることが格段に難しくなっている。


それでも連日の訓練で簡単には崩れなくなっている。

「カレン、物理耐性のモンスターだ。援護を頼む!」

「クラリス、20秒後狙ってください。」

「リディア、もう少し右に!」

「モーリン、援護射撃するからエリュートロンの回復を。」


声を掛け合い、苦手をカバーし、それぞれの長所を活かす。

チームとして連動できている。

元々A組の優秀な生徒たちだから、基本的なスペックは高い。

それと声を掛け合う時に邪魔になるから、『様』はいらないとクラリスが宣言していた。みんなの距離が更に近づいた気がする。良い傾向だね。


そして、、、勝利!!

かなり戦闘は長引いたけど、勝つことはできた。

「良かったね。勝てたじゃん♪」

「モンスターを上手くコントロールできましたわ。」

「モンスターも強くなっていたけど、勝てないってほどの強さじゃ無いしな。」

「モーリンの回復がタイミング良かったわ。攻撃にリズムが出てたもの。」

「リディアが前線をキープしてくれてるから、安定感があったわ。」

興奮覚めやらぬ状態で口々に意見をかわす。

「もう少しキースとカレンの距離は近い方がいいな。素早くカバーできる。」

「エリュートロンもまだまだ遠慮し過ぎよ。私に気を使わないで。」

「レオンは援護射撃のタイミングをもう少し前衛に合わせて。」

反省意見もしっかりと出ている。


「さてと、休憩したらもう一戦いくよ。今度はもう少しモンスターを増やすからね。」


第二戦。

・・・敗戦。

モンスターの量が増えたことでエリュートロンが上手くモンスターの群から抜け出せず、クラリスが効率的に魔法を放てなくなった。

するとどんどんモンスターが溜まり、飽和状態に。

数の暴力は強大で、前衛陣が次々にダメージを受けた。モーリンが回復しようと前に出ようとするけど、モンスターが多くて前に出られない。


結果、危険と判断したカシムとソニアが介入。モンスターを半減させてしまった。

その後は問題なく倒せた。

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