ダンジョンとは

いくつかの家を通り過ぎて、一番大きな家に到着。

「ここが我が家だよ。さあ入って。」


キルアに言われるまま家に入ると、出迎えがいた。

「お帰りなさいませ、キルア様。」

「ただいま、リナリー。

こちらはウィル。大切なお客様だから歓迎の用意をお願いするよ。」

「よろしく。」


リナリーと別れて、応接室に通される。

「さっき会った人、似てるね。」

「あぁ、ウィルが最初に会ったのがマイリー、屋敷で会ったのがリナリー、2人は姉妹だよ。」

「そうなんだ。」

「まぁ立ち話もなんだから座ってよ。」

「ありがとう。」


僕とキルアが座るとリナリーがお茶とお茶菓子を出してくれた。

「どうぞ、ここで育てた茶葉で淹れたお茶だよ。外のお茶と比べてどうかな?」

「美味しいよ。フルーティーな香りがいいね。」

「良かった。お茶にはこだわりたいからね。紳士として。」

「こんな所で美味しいお茶とお茶菓子が頂けたのは嬉しいんだけど、山のように聞きたいことがあるんだけど。」


「そうだよね。

私に答えられることならなんでも答えるよ。」

「ありがとう。まずはキルアが何者か教えてほしいんだけど?」

「自分自身を説明するのって難しいね~。

ラベルだけを並べると、ダンジョンマスターの真祖ヴァンパイアだね。」

「ダンジョンマスターって何なの?」


「そこからか~。

生きているダンジョンにはその管理者であるダンジョンマスターがいるんだよ。」

「生きているダンジョンって何ですか?」

「ダンジョンはダンジョンコアによって作られていくんだよ。ダンジョンコアが健在なダンジョンを生きたダンジョンと言って、コアが死ぬと死んだダンジョンと言って、区別するんだよ。

ダンジョンはそれぞれ特色があり、そのルールに則ってダンジョンポイントが加算されたり、減ったりするんだ。

そしてダンジョンポイントがゼロになるとダンジョンコアが死んでしまうんだよ。

だから長期間ダンジョンマスターがいないと、誰も管理しないから、ダンジョンは死んでしまうんだよ。

コアがあれば階層を増やしたりとか、色々できるんだよ。」


「じゃあ、49階にすぐに行けるルートとかできるの?」

「ピンポイントだね。可能だよ。

1階に隠し通路と転移陣を設置、帰りはこのフロアにある外に出る転移陣を使えば楽に往復できるね。」

「便利だね。ダンジョンマスターって。

その変更ってやってもらえるの?」

「いいよ。この後やっとくよ。」

「サービスいいね。逆に気持ち悪いんだけど。」

「ハッハッハッ、私にもメリットがあるからだよ。

このダンジョンのポイント取得条件が、『モンスターを倒す』なんだよ。だから昨日、今日とかなりポイントを稼がせてもらったんだよ。49階に行くのはモンスターと戦うためだろ。」

「へぇ~。ちなみにポイントが減る条件は?」

「ダンジョンを維持しているだけで毎日ポイントは減るよ。他にも今回みたいに隠し通路作るとかダンジョンを変更するのにも使うね。それから、『ダンジョン外の生物が死ぬこと』これも減算条件になっているね。これはダンジョン毎に異なるみたいだよ。」


「なるほどね。ポイントの変動で僕がモンスターを倒して、ここまで来たのがわかったんだね。」

「まあね。でもそれだけじゃあないよ。

私もほどほどに長く生きてきたけど、君の存在感は異常だよ。それに49階のモンスターを1人でほとんど倒したのなら、もうレベルは100になっていると思うんだけど、なぜ今後も倒せるようにしたいのかな?」

「キルアには色々教えてもらったからね。僕も答えられる範囲で答えるよ。

僕はね『フリーター』という職業でね。

毎朝違う職業のレベル1になるっていう特殊な職業なんだ。

取得したスキルは有効だから、毎日レベル上限まで上げたいんだよ。

それと、ちょっと特殊な事情で僕はレベル1でもほどほどに強いんだ。」

「ほどほどね~。私も世界最強の一角だけど、ウィルには勝てる気がしないよ。」

「またまた~。

キルアなら僕と良い勝負できると思うけどな~。」


その後もキルアと色々話をした。

ここまで来られる人は100年以上いないらしく、話に飢えていたらしい。

夜ご飯までご馳走になって帰ることになりました。

キルアとは良い友人になれそうだね。

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