第9話小児科の計らいの正体
今回の一連の流れを通して後で明らかになったのは、最初にかかった小児科のPCR検査を任意にした計らいの正体だ。
兄弟姉妹がいれば自宅療養期間はどんどん長引く。親は出勤できない。関係先への連絡の手間や負担もろもろ。中盤から終盤にかけての子供のストレスの大きさ。いじめや周囲の目。一度陽性と分かってしまったことから派生する問題の処理は膨大だ。保健所の職員さんだとして同じ。人数が増えれば業務も忙しくなる。だとしたら、それをある意味ゆるくしてしまうようにPCR検査を受けるか受けないかの判断を患者自身に託すというのは優しい計らいなのかもしれないと思った。もちろん、陽性者を野放しにしてしまっている可能性があることは受容しがたいことかもしれないけど、一つの家族がこのコロナ陽性の判明によって受けるであろうダメージで命を失くす可能性だっていなめない。その命を考えることだって必要だ。正に、あっちをとったら、こっちがとってもらえないというようなジレンマがここにもあったんだ。
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