第3話

 ヘレルには七人の付き人がついた。バルバス、夜刀(ヤトノ)、オトソ、ルリンエフ、大鶚(たいがく)、アパオシャ、バティン。

 ヘレルは七人に育てられながらすくすくと育っていった。

 数百年の時を経て、少年にまで育った。

 その姿形は、美としか形容できない。

 ヘレルは父から仕事を任された。

「ヘレルよ、人の世へ行って、あれらがどのような生き物なのか見てくるのだ、そして審判せよ」

なぜ自分がそんな面倒なことをせねばならないのかと問おうかとも思ったが、ここの生活に退屈していたので、人の世界を見るのも面白そうだと考えて快く承諾した。

仕事を申しつけられた後、宮殿の廊下を歩いていると、

「このバティン、反論するものかと思いヒヤヒヤしましたぞ」

 もふもふの白い体と、ぐるりと巻いた角を生やした羊男はそう言った。

「俺もそのつもりだったが、退屈しのぎにはちょうど良いと思ってな、人の世がこれから楽しみだ」

くつくつとヘレルは笑っている。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る