インヴィンシブル

第5話 仕事に応募する

......

トマトのように真っ赤な太陽がゆっくりと空から顔を出し、新しい1日が始まる。

この日も伊藤拓馬は、遠目にはビルのように見える会社の下にいた。

場面は昨日、部屋の中に移ります。

伊藤拓馬は、たまたま目にした雑誌に、ボディーガードの仕事を紹介されていた。

そこに書かれたメッセージを通して、彼はあらゆることを瞬時に洞察し、いくつかの因縁のある人たちを知ることができたのです。

その手を一指しすると、新聞紙面全体が瞬時に微光を放った。

その後、新聞紙の表面から、ほとんど無視できる太さの透明な糸が出てきました。

絹糸は伊藤拓磨に向かって長く伸び続けている。

伊藤拓馬は、このカルマの糸を簡単に切ることができたのに、その糸を自分の体の中に入れてしまったのだ。

伊藤拓磨がゆっくりとオフィスフロアに向かって歩き出した、さっきまで時間が戻ってきた。

"誰をお探しですか？"

その数歩先で、伊藤拓馬はビルの警備員に呼び止められた。

"みやざきしゅうご"

伊藤拓馬は淡々と言った。

"会長に何をお望みかお伺いしてもよろしいでしょうか？"

警備員が尋ねた。

伊藤拓馬は、何も言わずに求人誌を手に取り、指差した。

警備員はすぐに彼らを解放した。

伊藤拓馬は足を上げ、ゆっくりと歩いて入ってきた。

......

ビルの中層階にある、明るく広々としたオフィスです。

"こんにちは！"

シロンガ・ミマコトは微笑みながら、糸崎に握手を求めた。"私はミヤザキ会長の秘書で、ボディーガードの審査を担当しています "と。

伊藤拓馬は手を伸ばし、"こんにちは "と軽く声をかけた。

"テストはあそこです、ついてきてください"

シロガミマコトは、誘うような仕草をすると、自ら先を歩いて先導していきました。

......

マイナス1階には、密閉された部屋がいくつか設置されていますが、これは会社が求人に応募してきたボディーガードの面接に使う部屋です。

そして、その閉鎖されたトレーニングルームの一角で、すでに何人かの応募者がじっと待っていたのである。

"ジャジャーン"

その時、外からシロがミマコトとイトウタクマがゆっくりと入ってきた。

その声に振り向いた一行は、伊藤拓馬に視線を定めた。

その中の一人が伊藤拓馬の体格を見た。身長は170センチほどで、痩せていてひ弱そうな感じだった。

彼は思わず、"どんな猫や犬が来て、ボディーガードになれるんだ？"と内心でけなしながら、そっと首を横に振った。

彼は再び首をかしげ、隣にいる背の高いスリムな黒服の女性を見て、その視線をさらに軽蔑した。"この女はタレントショーに来たと思っているのか？"とね。

女性はその視線を察知したようで、筋肉が緩み、腰が不安定な男性を見るように首を傾げた。

一見して、侍でもないのだから気にすることはないのだとわかった。

ここで視界がシロウ・ガ・ミマコトに移り、手を挙げて皆に合図すると、"皆さん聞いてください、試合はリング形式で1ラウンドで決めます、順番は各自で決めてください "と短く言った。

そして、それが終わると、彼は静かに立ち、それ以上音を立てなかった。

"私がやる！"

すると、両手を広げた筋骨隆々の大男がリングに上がってきた。

さりげなく首をかしげて、全身をパチパチと動かしている。

その後、リングに立ち、挑発的なまなざしで会場を見渡した。

"こいつは一見さんお断りだ、まずは上がって波乗りを試してもらおう"

舞台袖で、何人かの応募者が思った。

"兄さん、一目瞭然でエキスパートです！まずはあなたが行ってください！弟は下で応援していますよ！"

"え、お兄さん......専門家でしょ、見てよ、その美貌、迫力、一目で大物だとわかる......。"

何人かの応募者は、この太った男と最初にスパーリングをしようとせず、お互いにぶつけ合っていた。

両手を後ろに回し、無表情で立っている伊藤拓馬。

視界はシロガミコトに向けられ、歩き出して介入したいような異様な表情でじっと一行の行動を見つめていた。

彼が足を踏み出す前に、人ごみの中で、この言葉を聞いた黒服の女性は、少し顔をしかめながら足を上げ、歩き出した。

"ジャジャーン"

彼女は無表情でステージに上がり、"お願いします "と言った。

大男の目は女に釘付けになり、女がリングに上がったのを見ると、激しい笑いを浮かべ、"小美人、俺のパンチを受けられるか？"と言い放ちました。

大男の口は軽薄だが、実際は相手を軽んじていたわけではない。

彼は密かに運をつかみ、体のあちこちに眠っていた真の気が、彼の言葉とともに湧き上がってきた。

足が地面に根を張り、真の気が高速で走る。

全身が熱湯のようで、頭のてっぺんから煙が立ち上っている。

まるで噴出口を見つけたかのように、頭頂部に沿って真気が飛び出し続ける。

大男はゆっくりと手を上げて拳を作った。溢れ出る真気がゆっくりと拳を取り囲み、白銀の光輪を形成していく。

"ドカーン"

大男は一瞬にして女性の前に立ちはだかり、その強靭な腕を大げさな弧を描いて後ろに振り上げ、一発のパンチで女性を吹き飛ばそうとしたのである。

"この男は本当に陰だ、まずわざと軽く負けたように振舞っているが、実際は極限まで真気が走っている！"

"あの女は倒すべきだ！"

"若者はまだ衝動的すぎる！"

隣の人たちは、この女性を好意的に見る人は皆無で、一番内輪もめをしていた男性は、今頃になって困惑していた。

彼は、何かとんでもないことに思い当たったようだ。

シーンがリングに移ると、大男の拳が爆ぜた。パンチの風はわずかに逃げ、足元の砂埃を巻き上げ、そのスピードで空気がソニックブームを起こす。

そして、黒服の女性は、抵抗をあきらめたかのように無表情で、何の動きもなくじっと立っていた。

"よくもまあ、じっとしてたな！本当に死のうとしてるのか！"

大男は、女のバカさ加減を軽蔑するような気持ちで、その演技を嘲笑しながら見ていた。

"バーン！"

ステージ上で、大男の拳が女性を叩こうとした瞬間、ようやく女性が動いた。

肉眼では見えないスピードのパンチを手で受け止め、今度はパンチの風が直接周囲の5立方メートルの塵を揺り起こし、大男と自分の姿を見えなくしたのだ。

"この女は真のマスターだ！"

"彼女はあの男のパンチを片手で受け止めたんだ！"

ステージ上では、その光景を見た観客が「目をそらしていた」とため息をつき、内心ショックを受けていた。

そして、その様子をまるで映画の宣伝のように見ていた男は、口を最大に開けて呆然としていた。

埃に覆われた空間の中で、女性の体は揺らぐことなくしっかりと立ち、顔も無表情で、まるでパンチを軽々と受け止めたかのようだった。

"まさか！"

まだパンチの姿勢を保っていた大男は、内心ショックを受け、その目はさらに重苦しくなった。

彼の真の気がフルパワーで動いているとき、彼は秒速10メートルで移動し、パンチ力の数値は400キログラムに達することさえあることをご存知でしょう

"難しいことは無理だ！"

そんな思いから、この大男はすぐにプレイスタイルを変更した。

片足を強く地面につけたまま、腰をひねり、左手を女性の腕に回してパチンとはじいた。

掴まれた右手の肘を後ろに投げ出し、その力を集めて女性を上に持ち上げ、地面に飛ばそうとする暴挙に出たのだ。

女性はすぐに大男の攻撃に気づき、手を上げて防いだが、その反動で体が逆さまに宙に浮いてしまった。

チャンスとばかりに、大男は素早く女の腕に手を回し、血管を噴き出しながら体を沈め、体重を落とした。

"ああ！"

彼は歯を食いしばり、女性を地面に向かって叩きつけようと闘った。

女性は空中で無理に体勢を整えながら、パスで足を強く絞ってリングに激突し、リングをクレーター状に押しつぶした。

"ドカーン"

女は大男に叩きつけられた慣性を利用し、その反動が地面から立ち上がり、一瞬にして女の右足に流れ込み、一気に蹴り出したのである。

この時、大男の心はまだ女性の激しい落下の惰性から抜け出せず、腕は硬直したまま、思考はまだ反応しない。

"カチーン！"

女の蹴りは大男の胸骨を砕き、力は内臓を貫き、粉々にした。

"パッと見"

大男は目を丸くして血を吹き上げ、瞬時に後方に飛び、内臓が砕けて低い空中に口一杯に血を吐き出し、全く声が出なくなった。

"パチン！"

大男のたくましい体は、大きな音を立ててリング外の床に倒れた。

"ええと......"

地面に横たわり、何か言おうと手を伸ばしたが、怪我のためできなかった。

やがて首が傾き、生死もわからぬまま、気を失った。