アーメンライトノベル

@ashame3969

第1話 入学


その日は快晴の天気であった。桜が舞い散り、涼しい風があたりを吹き抜ける。

何かを始める日はとても気持ちのいい日であることは間違いないだろう。

だからなのか知らないが、この世界では4月の春に大抵のものが始まる。学校、会社、何かの節目は必ず春と決まっている。そんな出会いの季節。それが春だ。

私はそんな春の季節が好きだ。私は今電車に揺られて高校の入学式に向かっている。電車の中は新入生がたくさん乗っている。ふと車窓から外の景色を見た。電車の窓から見えるこの景色も、いつかは見慣れていくのだろう。そう考えるとなんだかもったいないと思ってしまう。

電車を降りて、数多くの新入生とともに高校へ向かう。高校までの道のりは短い。最寄り駅から5分ほどで着いてしまう。いよいよ高校の校舎が見えてきた。校舎は試験や面接のときも来たことがあるが、お世辞にもきれいとは言い難かった。まあ公立高校入学に成功しただけでもよしとしなければ。

私は昔から薬剤師になることが夢だった。中学での頑張りが認められたのか、高校は公立進学校へ行くことができた。これなら家族の負担を減らすことができる。

残念ながら同じ中学からの進学者は僕だけだったので、私がこれから会う人はすべて初めて会う人だ。

そう考えると、早く自分のクラスの人が誰か知りたい。私は入学手続きを済ませて自分の教室へ向かった。

クラスには疎らに人がいて自分の席についていた。後で自己紹介をするだろうし、私も自分の席で待つこととした。5分後くらいだろうか、担任教師がやってきて軽い自己紹介の後、入学式の会場へ向かうこととなった。お決まりの校歌斉唱、校長の言葉、新入生代表の言葉、そして解散。私たちは自分たちのクラスに戻ってきた。


「私は芳賀亜美です。どうぞよろしくお願いいたします。」

教室に戻ってきた私たちは教師から順に自己紹介を始めた。

「私は佐々木だ。佐々木 裕太。得意なものはバドミントン、趣味は読書だ。

ほかにもインドアな趣味を何個か持っている。」このような自己紹介が以後続いた。

自分含め問題なく自己紹介が終わりそうだなって思ったとき、最後の一人

「渡辺風香です。趣味はお茶を嗜んでいます。」

内容自体は問題ない。しかし私が惹かれたのはその声だ。透き通るような声、可愛らしい身長、リボンで纏めてある髪、純白の笑顔、全てが目に焼き付いた。早い話が、私はこの子に一目ぼれしてしまったのだ。

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