第11話 慢心
次に現れたのは、クローラー2体。
僕の姿を確認し、一直線に向かってくる。
僕は迎撃態勢を取りながらも、
(ミミックってこんな頻繁に襲われたっけ?)
との疑問が頭の中に浮かび上がった。
「それは君が擬態を使いこなしていないからだよ。」
突如僕の耳にチュートリアルの声が聞こえてきた。
(えっ、擬態?)
僕はクローラーの突進を体当たりLv3と方向転換Lv3でかわしながら、チュートリアルの言葉に反応した。
体当たりと方向転換スキルのレベルが上がったため、避ける動作にも余裕が出てきた。
「擬態をうまく使えないと、相手からすると君はただの箱に入っているだけのモンスターなんだよ。擬態スキルで箱になりきることで、相手は君をモンスターとは認識しない。」
再度突進してくる2匹のクローラーをスキルでなんとかかわす。
「モンスターは魔力を感じて、相手を認識するんだ。擬態スキルは魔力や気配も隠すことができるんだよ。擬態で箱になりきることで初めてミミックとしての機能が果たされる」
そういや、僕は擬態をほとんど使ってないなぁ。
そういう使い方があったんだ。
「君の魔力は高くも低くもない、見た目も弱そう。彼らにとっては君は適度な魔力量を持った食べごろの餌なんだよ」
僕が餌?なんだか無性に腹が立ってきた。
避けられても愚直に突進してくるクローラー。しつこく何度も体当たりをしかけてくる!
(もう、うっとうしいなぁ!)
僕は突進してくるクローラーを方向転換Lv3でギリギリのところでかわし、空いた側面に食べるLv3で噛みついた。
ギィィ…!
すかさず溶解Lv2で装甲を溶かし、即座に毒針Lv4を打ち込む。
ドォンと音を立ててその場に倒れこむクローラー。
とどめに再度毒針Lv4を打ち込んだ。
「それに君は倒したモンスターを食べ散らかしているでしょ?その臭いにも敵が引き寄せられているんだ。」
(えっ、臭い?)
「君にはまだ嗅覚スキルが備わっていないから分からないだろうけど、結構君がいる辺りや、君自身からも臭いが漂っているんだよ。」
仲間が倒され、一瞬ひるんだ様子を見せたもう一匹のクローラーだったが、お構いなく突進してきた。
(そう言えば臭いについて意識したことが無かった。そんなに臭うかな?)
確かに移動範囲、食べられる範囲が限定されている僕は、全て食べることが出来ない。
食べ残しの分はそのまま放置していた。
「上手く食べるためのスキルはいくつもあるから、早く取得出来るといいね」
よくよく見てみると、食べ残しに群がるモンスターもちらほら見える。
僕自身がモンスターを引き寄せてしまっていたのだ。
クローラーは僕との距離が近づくと、ブレーキをかけながらその場で急停車。
体を反らし、反動をつけて上から叩き潰そうとボディプレスをしかけてきた。
地面に自分の体を叩きつけるクローラーを間一髪かわし、ひるんだ隙に側面から噛みついた。
溶解LV2を使用して装甲を溶かし、
「溶解のレベルが上がりました」
毒針Lv4ををクローラーの溶けた体に突き刺した。
ギィィイ…
苦しそうな声をあげて地面に沈むクローラー。もはやクローラーも敵ではなくなっていた。
「うん、君強くなったね」
そう、スキルさえ使いこなせば強くなれる。
次の課題は擬態の習得と、食べ残しが出ないようにすることだ。
早速クローラーを捕食しに戻ると、すでに別のモンスターが今にもクローラーを食べようとしていた。
それは僕が倒したやつだろ!
僕が食べ残した後を食べるなら文句は無いが、食べる前に取られるのには我慢が出来ない。
「そいつはハイエナガエルだよ。獲物を横取りする卑怯なやつさ。おっと、つい口を出してしまった。僕もう行くね」
そう言うと、チュートリアルの声は聞こえなくなった。
僕はハイエナガエルについて鑑定を行った。
【ハイエナガエル】
ダンジョンに残された死骸などを好んで食べる。縄張り意識が強く自分が狙った獲物を横取りされると襲いかかってくる。
Lv 7
HP(体力):120
MP(魔力):100
SP(スキルポイント):60
筋力:70
耐久:50
知力:120
器用:20
俊敏:80
運:100
自分が狙った獲物を横取りされると襲いかかる?
それって僕の獲物だよね。
「鑑定レベルが上がりました」
「相手のスキルも見ることが出来ます」
相手のスキルも確認できるようになったらしい。
早速ハイエナガエルのスキルをチェックしてみよう。
【スキル】
毒、舌アタック、跳ねる、毒耐性、※※※、※※※
どうやらスキルレベルまでは見えないらしい。
鑑定レベルが上がると見えるようになるのだろうか?
スキルのうちいくつかは見ることができない。
これもレベル次第なのだろうか?
見たところあまり強くは無いようだ。
移動に使えそうなスキルも持っている。
ここは迷わずカエル退治!
今の僕には恐いものなんてない…はず。
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