第7話 アバターポイント

「毒針のレベルが上がりました」

「あなたのレベルが上がりました」

「HP・MP・SPが回復しました」


【ステータス】

名前:光

種族:ミミック

クラス:見習い

Lv:1→2

HP(体力):40→60

MP(魔力):100→150

SP(スキルポイント):100→200

筋力:5→10

耐久:10→30

知力:30→50

器用:5→8

俊敏:1→2

運:300→600



スライムを倒したと同時に矢継ぎ早にメッセージが届いた。

レベルが上がると体力等が回復するのは嬉しい。

スライムの戦いで体力・SPとも使い切ってしまったので、別の敵に襲われたらひとたまりも無かっただろう。

能力値も上がっている。

ここでも上がり幅が多いのが運。一気に300も上がったなぁ。

レベルが上がっても箱の状態は回復するわけでは無いようだ。

スライムに破壊されたままの状態となっている。


レベルが上がった毒針のチェックをする前に、箱に取りついたスライムの破片を処理しないと。

さすがに死んだら溶解のスキルは使えないようだ。

付着しているスライムの破片が箱にダメージを与えることはない。

スライムの残骸は箱以外にも地面に散乱している。


スライムは緑色に変色しており、見るからに毒々しい。

これは食べられるのか?

でも食べないとスキル獲得は出来ないし。

ひょっとしたら移動スキルを持っているかもしれない。


勇気を振り絞って、箱についたスライムを口に入れた!


・・・!!


やっぱり毒だ!


激しい痛みが僕を襲う!

体が焼けるように熱く、刃物で突き刺されているような痛みが全身に広がっていく。

スライムに溶かされた時の何倍も辛い!

HP60→55→50→45と凄いスピードで減り続けている


「毒耐性Lv1 を獲得しました」


毒耐性を獲得したようだ。痛みは少しましになってきた。

それでもHPは減り続けている。

それほどまでに強い毒だったのか。

Hp40→37→34→31→28


「毒耐性のレベルが上がりました」


毒耐性Lv2となり、痛みはわずかになったがそれでもHPは減り続ける。


「毒体制のレベルが上がりました」


毒耐性Lv3となった時点でようやく下げ止まった。


「溶解Lv1」を取得しました」


獲得したスキルは移動スキルでは無い。

移動スキルと期待していただけに、僕の落胆は大きかった。

(今度こそ移動スキルと思ったのに…。)

落ち込んでいる僕を無視するかのように、メッセージは休まずに僕の耳に響いた。


「あなたのレベルが上がりました」

「HP・MP・SPが回復しました」


【ステータス】

名前:光

種族:ミミック

クラス:見習い

Lv:2→3

HP(体力):60→100

MP(魔力):150→200

SP(スキルポイント):200→300

筋力:10→20

耐久:30→50

知力:50→80

器用:8→15

俊敏:2→3

運:600→1500


スライムを食べ終わった途端にレベルまで上がった。

この世界では勝っただけでなく、食べても経験値が入るようだ。


体力も回復し、さっきまでの痛みは今は全く無い。

能力も結構上がったみたいだ。

運はすでに3桁にまで跳ね上がっている。一体このペースだとどこまで上がるんだろう。

それでも自分では移動できない。

なかなか移動スキルが手に入らない状況に僕は、憤りを感じ始めていた。


「Lv3 となりましたので、アバターポイントが使用できるようになりました」

「チュートリアルにアバターポイントが追加されました」


アバターポイント?

ステータス画面を見ると、端の方にアバターポイント OPという項目が追加されている。

チュートリアルで確認しろと言うことだろう。

僕はチュートリアルを選択した。


「パンパカパーン、おめでとうございます!」

また、このくだりか。

相変わらずのハイテンションなチュートリアルの声が聞こえてきた。


「光くん、ようやくLv3となったようだね。おっそいよー。僕待ちくたびれたよ。」


僕の中で怒りがこみ上げ、声がする方向をにらみつけた。


「もうそんなに怒らないでよ。アバターポイントについて説明するからさ。」

(そもそもアバターポイントってなんなのさ?)

「アバターポイントっていうのは、自分の見た目を変えられるアイテムを帰るポイントのことだよ。」

(見た目?)

「そう、見た目。だってミミックって見た目が大事でしょ?綺麗な宝箱じゃないと誰も取ってくれないじゃん。」


(見た目だけ…?スキルとかが買えるんじゃなくて?)

「見た目だけなんだけど、ものによっては耐久力とか上がるから捨てたもんじゃないよ。それに、ミミックに進化するには宝箱が欲しいからね。ダンジョンの中でも宝箱は手に入るけど、見た目は選べないからね。」

(うーん…確かに今の木の箱はボロボロになってしまったけど…。)


「ちなみに補修材もアバターポイントで買えるから何かと便利だよ。」

(どうしたらそのアバターポイントって貯められるんだ?)

「Lv3からは普通に戦っても、相手を食べてもポイントが加算されるようになるんだ。敵の強さにも影響されるけど、高ポイントを稼ごうと思ったらドレッシーな敵を倒すといいよ」

(ドレッシーな敵って?)


「見た目がかっこいい、可愛い敵のことだよ。つまりおしゃれな相手を倒せばアバターポイントが高く入るってことだよ」

(おしゃれな敵の基準ってあるのか?)

「これは僕たち管理者の判断だね。」

(何か分かったような分からないような…)


「まっ、そのうち慣れてくるでしょ。アバターポイントについてのチュートリアルを聞けばアバターポイントが100p手に入ることになっているから100p分を振り込んでおくね。早速補修材を買ってもいいんじゃない?」


「アバターポイント100pを獲得しました」


早速振り込んでくれたらしい。早速補修材でも見ておくか。


「じゃ、僕はもう行くけど何か聞いておくことはある?今なら答えてあげるけど。」


僕は苦労している移動スキルについて尋ねた。

「食べても食べても移動スキルを覚えないけど、、何かコツなんかあるの?」


「えっ、君ミミックだよね?」


予想外の返しに僕は一瞬固まってしまった。ミミックだから…何?

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る