第7話 遺物4

翌日


リルダの家のドアを叩く音が聞こえる。


リルダが扉を開くと興奮気味な顔をしたフラーがいた。


フラー

「あった!あったぞ!これだ!爺さんは昔の書物の解読をするのに翻訳書を作っていたんだ。それは爺さんの私物だから爺さんの持ち物になっていたらしい。それが家に残っていたんだ!」


リルダ

「よかったわ、これで昨日の書物に何が書いてあるか分かるわね。早速見てみましょう。」


それからフラーとリルダはしばらく家にこもり、古代の書物の解読を続けた。


そこには二人の知らないエルダーレの地の歴史が書いてあった。



【宗歴829年】ミルダの国と戦争になる。質量で劣る我らは苦戦を強いられた。我が国はこれを押し返すため新たな兵器の研究を始めた。各地で研究、試験しているも未だ完成を見ず。



フラー

「あの遺跡にあったって事はあそこでも兵器の研究がなされていたんだな。大昔の兵器だなんてどんな兵器が作られていたんだろうな。今もその兵器が残っているかもしれないぞ。まだ続きがある、見てみよう。」



【宗歴833年】戦乱収まらず、未だに攻防は続いている。研究していた兵器も完成の目途が立ち、テスト運用を開始する段階に入った。



フラー

「なあ、これを書いている人達って俺達みたいな魔法の力がなかったのかな?兵器に頼らなきゃいけないなんてまるで魔法の力もないみたいだ。」


リルダ

「まって、まだ続きがあるわ。」



【宗歴835年】長い戦乱の日々だったが我々の研究していた兵器が完成を見る。実戦への投入が開始され、戦況は変わりつつある。願わくばこのままこの戦乱が収まらん事を祈る。



フラー

「なるほどなー、この時代には戦乱があったわけだ。あの遺跡はその時のものだった。この歴史の先は分からないが、俺達の祖先なのかな?誰もいなくなって遺跡になっちまってた、滅びちまったんなら戦乱にも負けちまったって事かな。」


リルダ

「そうね、これだけじゃ歴史の全てを知る事はできないわ。私達は自分達の歴史以外をほとんど教えられていない。でもこんなに過去の歴史を語る文書があるのに国はそれをひた隠している。この国は何かを隠しているのよ。知られたくない過去の歴史、とかをね。」

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る