補習中

バブみ道日丿宮組

お題:走る男 制限時間:15分

 童話で踊り続ける靴というのがある。自分で止めることはできず、最終的には足を切り、靴を強制的に脱ぐという結末を迎える童話だ。

「……」

 校庭で走り続けてる男は、その強制力がないのにかれこれ三時間近く走ってる。

 時折部員が水を渡したりしてるが、止まる勢いはない。

 トイレという概念もないらしく、垂れ流しでひたすら走ってる。

 掃除はするのだろうか? 私たちは尿に濡れた校庭で体育をしなきゃいけないのか? そもそも男はいったい誰なのか?

 頭にいろいろと浮かぶ。 

 私はといえば、教室の窓側の席からたまにそれを見るのを繰り返してる。

 補習授業というのは面白みがない。黒板には理解してることしか書かれないし、課題としてもらったプリントはもう既に回答を終えてる。

「……はぁ」

 だいたい試験で満点を出してるのに、補習される意味がわからない。

 確かに欠席はよくしてる。

 ベッドが肉体を食べてるかごとく動けなくなるから。

 親は無干渉。別に放置されてるというわけでもない。きちんと挨拶はするし、ご飯も一緒に食べる。ただ、学校に関してだけはそうなだけ。

 通知表には常に最高ランクが記されてるし、試験結果も満点なのを見せてる。

 それがあるため、おそらく口酸っぱくいうことはないのだろうと思う。

 校庭で走る男もそういう口なのかもしれない。

 部活の範疇は超えてると思う。

 長距離マラソンとかに出たら活躍するんじゃないかとか思ったりするが、どうなのだろうか?

 この学校が全国出場したというのはこの在籍してるニ年間では聞いたことがない。

 これからの男なのか、外から来た異邦者なのか。

 教室から見えるデータからでは判断がつかない。

 まぁそんなに知りたいとは思わないけど、教室で無駄な言葉を聞いてるよりは有意義かもしれない。

 そう考えると、ノートを取り出して、思いつくことを箇条書きにしてく。

 教師にはやっと真面目に聞くようになったのかと思ったのかもしれない。嫌な視線がなくなってた。それは良好だった。

 見られるのはあまり好きじゃない。目立つのも好きじゃない。

 けれど、試験で手を抜きたくない。

 そうして、10ページほど書き埋めると、補習授業は終わりを迎えた。

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補習中 バブみ道日丿宮組 @hinomiyariri

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