高校生の時に『異邦人』を読み、どっぷりムルソーに傾倒してしまったあの頃を思い出しました。
彼は感情がないわけではなく(行間には彼の感情が詰まっている)正直すぎて捻くれた子供のまま大人になってしまった彼が、社会と上手く渡り合えないところ(裁判とは社会を映し出し、実に不条理に感じるその巧みさ)に感じ入り、あの頃はムルソーに自身を投影していたんだな、と懐かしく思い出しました。
すっかり大人になってしまった私、再読して何を思うのか…ぜひ読み返してみたいと思いました。
作者からの返信
石濱ウミさま
私的な感想で書いたもので、お読みくださるなんて、嬉しいです。お星さまも含めて本当にありがとうございます。
大人になったときと、若い時とは、やはり受ける感動が違いますよね。
編集済
コメント失礼します。
意識の流れがウィリアム・ジェームズから来ていると聞き驚いています。アメリカの有名な心理学者ですけど、どんな研究をされていたか存じ上げなかったんで、意外なところで活躍されているのだな、と。
意識の流れについてはジョイスとウルフが上がっていますが、自分はフォークナーの『サートリス』の印象が強烈で敬遠しています(訳がわかんなかったんですよ)。カミュの作品は有名で、たくさんの方が読まれているんですね…。
ジョイスの作品はよく訳されているみたいですけど(『ダブリン市民』など)、カミュもいい訳があるのでしょうか。
とても案内として、色々と、発想のきっかけになる文章でした。ありがとうございました。
追記:自分は『サートリス』をしっかり読んだわけではありません。岩波の現代文庫か、講談社の本だったかもしれません。第1章が記憶の断片みたいな表現になっていて、呆れて読むのを止めました。実力不足です。
雨さんには周りに人がたくさんおられて、このように人を惹きつけて企画したりものを書かれているので、凄いな、と思っています。魅力のある方なんでしょうね。
すいません、これで止めます。
作者からの返信
中西 魯な (rona 736)さま
読んでいただき、お星さまもありがとうございます。
カミュは新潮文庫から出ているのを読みました。訳者は窪田啓作氏。とてもいい翻訳だと私は思いました。
フォークナーはそうでしたか。その作品は読んだことがないのですが。
こちらこそ、ありがとうございます
もっとも好きな作家の評論、ありがとうございました…m(_ _)m
作者からの返信
お好きだったんですね。よかった。
この作品、タイトルとか有名な文学作品ですが、とても読みやすくて、私も好きなんです。お星さまも本当にありがとうございます。
こんにちは。私も昔にカミュの異邦人に関する作文を書いたことがあるので、見入ってしまいました。
不条理に着いてどこまでも深く考えささられますよね。
『自分さえも騙して自分自身に嘘をつきながら生きている』という言葉に深く共感しました。また再読しようと思います。
作者からの返信
✿こおり@新作公開中さま
お読みくださって、本当に嬉しいです。ありがとうございます。
学生時代に読んだのですが、もう忘れていて、ひさしぶりに読み替えしました。いろいろ今と昔では、受ける印象がちがい、楽しかったです。
コメント失礼します。『意識の流れ』といった手法について知った時に、どういうことなのかよく分からなかったのですが、「『私小説』と似ていますが……」というところを読んで、なるほどと納得するものがありました。それで「異邦人」を読み直してみました。おっしゃるように、私小説のように内省的になることもなく、淡々と素っ気ない描写ばかりの文章は、とても乾いていて、物語内容と相まって残酷に感じられ、「神の思考に近い」というお話にも納得の思いです。素晴らしい解説を読んで、新たな読書体験が得られました。ありがとうございました。
作者からの返信
@sakamonoさま
お読みくださって、そして、素敵なコメント、本当にこちらこそ、ありがとうございました。
とても嬉しかったです。
未読だったので、20分にまとめた動画を見てから伺いました。
さすがアメさま。分かりやすい論説です。
普通と特殊に傍点があるのが、この作品から受けたものだったので。おおって
なりました。乾いた感情が反映されているのも。
自分さえも騙して自分自身に嘘をつきながら生きている……
この部分でアメさまの作品を思い出しました。
名作にインスパイアされて執筆されているアメさま、素敵です♡
作者からの返信
ハナスさん
嘘をつくって箇所ね、書きましたよね。
ミステリーを書くときの、私のテーマみたいになっています。
素敵なんて、きゃーです、
読んでくださって、その上にお星さまを嬉しいです。本当にありがとうございます。
新章突入。もしかして、ルイちゃんかな、なんて思っています。
あの子、すごく才能ありましたよね。 (ふたりでBesty♡)
『異邦人』未読なのですが、読みたくなりました。
その当時、カフカなんかも不条理極まりない小説を書いていましたね。
カフカはたくさん読んだのですが、「理不尽なぁ!」っていつも思ってました。
アメさんの考察、とても知的で深くて、でも分かりやすくて。
アメさんって、ほんと凄い人だなって改めて思いました。
何者? どこの奥様? って、いつも思ってます(*^^)v
作者からの返信
無雲ちゃん、
いつも最高の褒め言葉をありがとう、私の癒しの無雲ちゃん、レビューまで書いてくれて、ほんと、ほんとありがとうね。
何を隠そう、アメは、いたってアホな主婦なんであります。ときどき、調子に乗って当たりを出せるかもって、でも、ふだんはぽんぽこ〜〜って踊っておりやす。
雨 杜和orアメたぬき様
素晴らしいですね。アメ様の教養が詰まっていて、それでいてとてもわかりやすくて、恥ずかしながら読んだことが無かったのですが、読んでみたいなと思いました。
作者からの返信
☆涼月☆さま
カミュとか、名前を聞いただけでも、手を出すのが、ちょっとって気持ちわかります。
私もそうなんです。
学生時代に読んだことはあるんですが、全く忘れてました。
お褒めくださり、お星さまも本当にありがとうございます。
拝読するのを楽しみにしてました! 説明の部分と読者としての感覚とのバランスが絶妙で、冷静な分析で分かりやすいですね。小説の手法とか全く知らなかったので勉強になりました。
乾いた感情って言葉がハマりました。この一人称語りの大きな特徴ですね。僕はこの乾きの中にときどき人間らしい感情が出てくる瞬間が好きです。たとえば検事の弁論と勝ち誇った顔を見て悔しくて泣きたくなったり、食堂の店主が自分のために精一杯証言してくれた顔を見て抱きしめたくなったり。マリーとの面会や証言のシーンなんか全部切なくて、そういうのがぎゅっとなります。
「常識側」の人間の苛立ちも分かるし、ムルソーの不器用すぎる正直さも分かる。
個人によって配分は違っても、読者はムルソーに対して読者は「嫌悪感」と「共感」の両方を覚えると思います。
「善と悪しか識別しないAIには書けない」
まさに仰るとおりですね。このモヤモヤがなんとも。
大人の論説を拝読できてよかったです。ありがとうございます。
作者からの返信
柊圭介さま
私も、柊圭介様のエッセイ。本当にこの小説への愛が溢れ出ているようで、読ませていただいて感激しました。
ムルソーにたいする、私のもやもやに共感いただいて、嬉しいです。
意識の流れは、学生時代にゼミでとっていたので、この作品を読んだとき、最初に、ああ、やはりその流れがあるなって思ったのです。
ひたすらムルソーの内面を書き連ねていく、その手法が、まさに意識の流れだと。
楽しみにしてくださって、ありがとうございました。
私も、とても柊圭介さまのエッセイ、楽しみにしていました。ママンに対する疑問を読んで、最初はお断りしたんですけど、書きたくなりました。
お星さまも本当にありがとうございます。
なにせ、読んだのは大昔。
しかも、細部は、記憶の沼の奥深くに……。
会話は成立しているのに、言葉が通じない。
何もかもがウザい。くわえて、暑い。
だからといって殺人はしないけれど、イライラが募る気分は、わかりみが深いな……っと感じた記憶が……。
私も、異邦人なのかもしれない。
作者からの返信
ことさん
私たちは、たぶん二人で異邦人。でも、そこを常識でカバーしているから、違うかも。
いつもありがとうね。
深い考察ですね!
論理的でわかりやすいです。
私が異邦人を読んだのは、もう三十数年前なので内容を忘れてしまいました。というよりも、未熟な当時の私にはこの作品を理解することができなかったのでしょう。
あらためて読んでみたくなりました。
私見ですが、欧米の文学には『社会性』があり、私小説にはそれがない、という印象です。
時代背景や当時の社会情勢を考えると、ムルソーにとって太陽とは『ある種の神』であり、もしかしたら軍隊の上官の命令(敵を殺せ)だったのかもしれませんね。
作者からの返信
佐野心眼さま
欧米文学には社会性、おお、確かに。まさに、私もそう考えておりました。言葉にできなかったのですが、そうです、そうですって、いま膝を打っております。
太陽は神、そこも同じ感想をもっております。
お読みくださって、お星さままで、本当にありがとうございます。
とてもカッコいい(?)考察だと思いました。『意識の流れ』についてはまったく知りませんでしたし、『異邦人』も読んだことないですが、とても分かりやすく納得しました。
アメさんの「異邦人」と主人公・ムルソーの捉え方が分かる素晴らしい文章だと思います。とても上手い。
作者からの返信
藤光さま
大学のゼミで昔、ヴァージニアウルフについて「意識の流れ」の授業を受けたんです。それで、異邦人を読んだときに思ったことなんですが。
とても上手いなんて、ほんとありがとうございます。お星さまもうれしかったです。
久しぶりに、考察したんですが、なんか、楽しかったです。カクヨムの皆さまは、普通の人より書くことが好きな方々ばかりだから、こういうの楽しいですよね。
カミュの「異邦人」未読ですが、これはすぐに読まなくちゃ! という気持ちになりました。アメさんの考察、とっても興味深く拝読しました。アホな感想で申し訳ないのですが、アメさん、頭いい〜! すごい〜! って思います(笑)。
特に「普通の自分」と「特殊な自分」を両方持ち合わせているという説、納得です。私は、「普通の自分」つまり「社会に適合している自分」にも、時々、疑問や嫌悪を抱きますが、それが「特殊な自分」もしくは「特殊な自分」を自覚している自分の気持ちなのかもしれません。
文学を読み解くって、なんて知的な行為なのかしら、とこれ読んでうっとりしてしまいました。アメさんのこういう解説、他の作品についても読みたいです。続編希望です!
作者からの返信
まりこさん
時々、疑問や嫌悪を抱きますが、それが「特殊な自分」もしくは「特殊な自分」を自覚している自分の気持ちなのかもしれません。
これ、まさにそうですよね。
だから、小説を書くのかもしれないですよね。わたしたち。
いやあ、続編って、嬉しいです。これは、これで、完結で、いつか、ミステリーを書き上げたら、考えてみますね。ありがとう。
太陽のせいで、人を殺した。そんな言葉を聞いたことはありましたが、そのもとネタは『異邦人』でしたか。
未読で、なかなか手が出ないジャンルだなと思いました。
それでもムルソーに何処かで共感する部分や否定的な部分があり、人間とは複雑だなと、アメさまの論説を読んで考えました。
面白かったです。ありがとうございますm(__)m
作者からの返信
長月さま
そうなんです。異邦人で、太陽を使ったことが興味深いですよね。気候が人の心の影響するって、実は、その単純さに、でも真実もありますよね。
実は、異邦人、とても読みやすいんです。
面白いと言っていただき、嬉しいです。ありがとうございます。
アメさんの言葉自体が魅力に溢れていて、異邦人を読みたくなりました。
やはり人間はどちらの部分も持ち得る生き物なのだと思いました。
『社会で暮らす人間が、この嘘をつけない場合、異邦人になってしまう』
この事実を恐れ、普通の人なら普通であろうとしますよね。
しかし、ムルソーは違う。
そのまま生きる事は、ある種羨ましくもあります。
と、ここまで興味を持てたのはアメさんのお陰です。
素敵な評論をありがとうございます!
作者からの返信
ソラノさん
私も久しぶりに読み返してみて、なんだか、ぞっとする感覚を味わったんです。
ムルソーのように生きることをしてはいけないなんて思ってもいます。
だから、私たちは息苦しいんですよね。
ソラノさんのコメントで、逆に私も考えてしまいました。
素敵なコメントをありがとうございます。
お星さまもありがとうございます。
異邦人って未読なんですが、日本の私小説(純文学)に近いけれど、もっと純粋な純文学なんですね。
これは読んでみなくてはです。
作者からの返信
水守さま
私小説とは違うんですよね。フランス純文学ではあるのですけど。
読みやすくて、乾いた文体です。
ひさしぶりに読んで、ラスト近く、鳥肌が立ちました。
お星さま、本当にありがとうございます。
柊さんのところからお伺いさせて頂きましたっ!『異邦人』未読なのですが、お二人の論説に触れ、新たな世界を開けそうな予感にワクワクしておりますっ!
『普通』というものが未だによく解っていない私には、様々な示唆を与えてくれそうです!ありがとうございましたっ!
作者からの返信
呪文堂さま
こんばんは
読んでいただいて、とっても嬉しいです。ありがとうございます。示唆なんて、恥ずかしいですが、でも、ありがとうございます。
私は、カミュの『異邦人』は読んだ事がないのですが、ムルソーという主人公の不器用ともいえる生き方に興味が湧いてきました。
これはきっと、雨 杜和orアメたぬき様がこの物語とムルソーという主人公を的確に分析して、ムルソーのその不条理さ、生き方を、嫌悪する普通の自分と彼に共感を覚える特殊な自分とがいると力されたところに尽きると思いました。
又、全てにおいて何とも素晴らしい論説に心が震えるほどです。
書いて欲しいとお誘いされたのも納得です。
雨 杜和orアメたぬき様、素敵な論説ありがとうございます✨
作者からの返信
この美のこさま
なんて嬉しい言葉でしょうか。
本当にありがとうございます。学生時代から、うん10年。完璧に忘れていたんですが、レネさんに言われ、久しぶりに読んだら、書きたくなってしまって。
こちらこそ、お星さまも含めて、読んでいただいて、本当にありがとうございました。
なるほど。
カミュは読んだ事がないのですが、村上龍の『コインロッカーベイビーズ』とか『KYOKO』みたいな感じなのかなと受け取りました。
精神に余裕がある時にちょっと読んでみたくなりました。
作者からの返信
サヴァ・カーンさん
村上龍の『コインロッカーベイビーズ』。たしかに、乾いた文章ですよね。日本の私小説とは一線を画す。
私も、学生時代に読んだきりで、「異邦人」、まったく忘れてました。
昨日、読んでみて、やはり名作だと思ったので、書いてみました。
よくまとまってますね。
文学史の授業を受けてる気分になりました。
私はムルソーの側とこちら側をいったりきたりしている自覚はあります。
そういう面は多かれ少なかれ人間にはあるんじゃないですかね。
自覚しているかしていないかの違いだけだと思います。
作者からの返信
へもんさん
嬉しい言葉をありがとうございます♡
数日前に頼まれて、最初はお断りしたんですけど、なにせ、ミステリーが全然書けてなくて。
でも、昨日、あるコメントを拝見して、久しぶりに「異邦人」を読み直してみました。
面白かったです。
うーん、学者やのう。
特に前半のような捉え方はしたことがありませんでした。
新しい認識を与えていただきました。
0と1で構成され、善と悪しか識別しないAIには書けない作品なのです。
ここ、最高ですね。これぞ「異邦人」の本質をついた、しかも新しい一文だと思いました。
作者からの返信
レネさん
書いてみたら、なんか楽しかったです。お誘いありがとうございます。
カミュ、難し過ぎます。
日本語の純文学も苦手なのに、フランス文学は敷居が高過ぎます。確か学生時代に第二外国語をフランス語にしたこともあり、挑戦したことがあったと思うのですが、キッチリ挫折しました。
その国の生活様式・慣習など文化が分かっていないと、感情移入が難しいのかもしれませんね。
できないことを長々と書きましたが、今度、図書館に行ったとき探して見ます。今なら完走できますかねぇ?
作者からの返信
@Teturoさん
お久しぶりです。お読みくださて、とっても嬉しいです。
私も第二外国語がフランス語だったんです。当時、読んだときは、なんだか違和感がありました。もう、どう思ったか全然覚えてないんですけど。その国の文化などわかっていないと難しい、確かにそう思います。
お星様まで、本当にありがとうございました。