【B002】皇帝陛下は☆ゆにばーさる☆あいどる
ながらく続いた戦乱を平定し、
「澄、知ってるか? 世にはあいどるという仕事があるらしいのだ!」
「
「なんでも人々の輿望を一身に浴び、代わりに愛と笑顔をもたらすのだそうだ! すなわち皇帝とは、最高のあいどると言えるのではないだろうかっ!?」
「
「ッ!? いや澄、何だその底暗い目は……僕はただ、きみにも輝きを……っアッーーー!」
♪
「澄! きみの諫言は実に200件にも及び、そのすべてが国の成長に繋がっている! その忠心、実に得難いものだ!」
「
♪
「澄! きみの推薦した人物が借金まみれになっていると聞くぞ! もっと精査はできなかったのか!」
「
♪
「澄、その剛直、僕にはありがたいが、それだけだと周りからの誤解も招くぞ。もう少し当たりを柔らかくしたほうが良いのではないか?」
「
♪
「澄! 僕の輝きは国内のみならず海外にまで行き渡らせるべきと思う! 海外の王たちを招待したいと思うんだが、どうだろうか!」
「
♪
「――澄、僕が逆らった時に何も言わずに下がるのが正直不気味なんだが、どうにかならないか?」
「
♪
「澄! 今この天下は大いに安んじ、外国からも僕を慕い貢納に来るものが跡を絶たないでいる! それもこれも、僕の輝きの故かな!」
「
「ぴえん🥺」
♪
「澄、きみは僕の過ちを見ると必ず諫言してくれる。確かに僕は
「
♪
李澄は魏炯仁に先立って死んだ。遺書にはこう残されていた。
「
魏炯仁が嘆く。
「僕には三つの鏡があった。身だしなみを整えるための、銅鏡。栄枯盛衰の因果を求める鏡としての、歴史。そして僕のふるまいが正しいかどうかを映す鏡としての、李澄だ。いま、得難き一枚の鏡を喪ってしまった! 今後僕はどのようにふるまいを整えれば良いのだ!」
その莫大な功績から、魏炯仁は、李澄の葬儀を盛大に執り行いたい、と残された家族に申し出た。しかし妻である
「主人は常に質素倹約を旨としておりました。にもかかわらず国の重臣として勤め上げたからと盛大に葬られるのは、故人の意に反するものであると考えます。無論このようなこと、陛下に申し上げるまでもないかとは存じますけれど」
「ぴえん🥺」
なお数年後、魏炯仁は無茶な外征を行って失敗し、「澄なら止めてくれたのに!」と割と無茶な後悔をしている。
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