解説
解説
本作は南雲 皋様主催
「匿名短文開花ショタ企画」
参加作です。
ぼくには夢がありました。「ガチ明治文体やりたい」。たぶんそのうちガチ漢文とかガチ訓読文とかもやると思いますが、その前に。ガチ古文は……無理だろうなぁ。蓄積がなさすぎる。
ただそう言うのって、短編でもしぬんですよ。短編以下、超ショートショート。そういう所でないと無理。と言うわけで南雲さんの企画を拝見し、「よしここだ、おっさんのショタ時代のあれこれを叩きつけてやるぜ! 明治文でダイレクトな性欲の目覚めを全力で糊塗したろうぜ!」そう、思い立ちました。
この辺がだいたい三秒。勢いに任せてとりあえず初稿を上げるのに四時間。
さて。
「さてさて、方向性は固まった。俺はどんな方向性のイベントに参加するのかな……」で、前回企画であるところの胸キュン企画をリサーチし、別方向に固まりました。
あっ違う、これカテエラ。「性欲の目覚め」とかそっち方面じゃないよこの企画。性欲と性愛は違うって。精通にきゅんきゅんする女子とかどんな特殊性癖だよ! やっべえどうしよう。
結論。
まあいいか。だって思いついたんだもん。
とは言えこの作品が「セクハラ」と呼ばれうる属性を持つことはしっかり引き受けておかないとダメだよね。
そういうのを念頭に置いて、そこから二十四時間、ずっとこの作品の表現叩き続けていました。第一は「もっと明治文体っぽく見せられるように」=いっぱい悪趣味な漢字変換とか悪趣味な歴史的仮名遣いルビとか悪趣味な傍点とかぶち込んだれ。少しでも隙を見せるな。ぶち込める限り、全部だ。みたいなノリです。ちなみにさすがに行き過ぎだけど字面の面白さ優先でぶち込んでるのが「不」です。これについては正直見たことないです。
そして第二は「様々な可能性を残せるように」。各所でも言っていることでありますが、この作品は結末をぼやかせています。なぜか。「自分がズリネタにされたの知ったら嫌悪感が沸き起こってくるのなんかある意味当然でしょ」って思うからです。そういった感覚をこの物語に出くわした際、下手に抱え込まずに「以降オーロラがジェレミーを嫌うようになった、避けるようになった」と放流できる余地は「絶対に」残しておかねばならない。そういう意図を、特にラストの「僅かに」に込めています。
各作感想でも申し上げておりますが、ショタの恋ってね、実らないんですよ普通。実ってしまう恋は基本、ショタにとってものすごく都合のいいファンタジーです。特にそれを「おっさん」を明言してる人間がやらかせば、読む人が読めばめっちゃ醜悪な、おぞましいものに見えるんだろうなあ、と言う風にも感じました。
なので「よっしゃその辺もっと拡張したれ!」とすっげえ悪趣味な笑顔浮かべながらスピンオフ作「皓月の静夜」を書き始めました。テーマとしては「本人にとってはめちゃくちゃ都合のいいショタックスだけど、結局それは周囲の陰謀と悪意に塗り固められた虚構でしかなかった」みたいな、本人が知れば発狂死しかねないシチュエーションを作り出すこと。醜悪さを塗りつぶすのは、よりタチの悪い悪意、というわけです。最悪ですね。とても楽しかったです。
『継承戦争前夜―性刺客オーロラが密命を帯び王の遺児ジェレミーを籠絡し性の泥沼に陥れた、その初夜のこと』
(企画作+スピンオフ『皓月の静夜』)
https://novel18.syosetu.com/n4505jd/
ショッタクスを赤裸々に、ですから、当然18禁です。
上掲作ですが、企画会期の初動を見た=当作を見るは見たけどポジティブには反応しづらい方が多そうだ、というのを悟ったタイミングで着想しました。つまり本編を書いていたときには影も形もありませんでした。本編そのものは飽くまで「ジェレミーの恋心が実る/実らない」に確かな分流点を設けておくもの、です。であるならば、スピンオフ作はそうした流れの自由度を阻害するものに他なりません。「続編」「作品の真実」であってはならない。少なくとも、今回の企画にご参加いただけた方々にとっては。そのように考えています。
無論両作の組み合わせによって、自分がこれまで書いてきた中でも「とびきり最悪な破滅の形」を描けた、と思っています。書けた達成感半端なかったです。とは言えそれは飽くまで企画の外の話なんですね。ツイッタでも書いたことですが、「あなたの物語ではない」以上、棄却で構わないものだと思う次第です。
それにつけても、最近歴史系同人誌づくりばかりで全然物語を書けてこれてなかった人間(現在もkindleで発刊をする準備を進めています)にトンデモネー恵みのしずくを与えてくださったことに感謝感激限りなし状態でした。それはもう、作者公表前後の自分が吐き出すテキスト量に如実に現れている、と言っていいかと思います。自分で言うのもなんですがちょっと怒涛すぎます。
もちろんこれはとても独りよがりな楽しみ方でしかありません。なので今回の自作が他の方にとっても楽しめるものになっていたとしたら、それはもはや望外の喜びと申し上げるより他ありません。なにせ、基本的に「ひとさまのために/ひとさまとともに動く」ができない人間ですのでね。
改めて、この作品を送り出そうと思う場を提供してくださった南雲 皋様に、そしてこの作品を「育ててみたい」と思う機会を与えてくださったイベント参加の皆様に感謝申し上げます。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます