【No. 120】青春(くろれきし)との再会【残酷描写あり】

 俺くん俺くん!


「ん、なに?」


――ヴァノル!


「フグヴォッッッ!!??」


 すげー、効いてる効いてるwww

 どう、どう? 中高大と十年にわたって練り上げて、で結局お蔵入りにしたキャラとの再会!


「コロシテ……いっそ……」


 まーまーそう言うなって! いやー、壮大だったよね、滅びなんとしていた地球から新たな星への入植を試みた3組の男女と三台の自律駆動型スーパーコンピュータ、そしてその管理者たるヴァノル! ヴァノルはその立場を活かしてスーパーコンピュータたち、クワナス、ルーディア、ジュメルを駆使、新世界の神になることを画策するけど、それに反抗したのが3組の男女、尼崎あまがさき勇人はやと市原いちはら琴音ことね小上おのうえ一馬かずま千寿院せんじゅいん千歳ちとせ西園寺さいおんじ貴宏たかひろ椿沢つばきさわ優名ゆうな! ヴァノルは彼らを制圧こそするんだけど新天地のアダムとイブとなるべき彼らを殺すわけにもいかず、コールドスリープさせた! しかしその中で一人、貴宏だけはコールドスリープを逃れて脱出、行方をくらます!


 新天地でヴァノルはクワナス、ルーディア、ジュメルに競争をさせることで技術発展を促した! まもなくクワナスが強化人間技術「神兵しんへい」を開発! 当地にいた人間のうちジーン・ジェナハイト、ディフリト・バルトゥルグ、ヴァイス・ディナーの実用化に成功した! けどルーディアのもとに潜り込みハルベルト・アルデュークと変装変名した貴宏が神兵技術を盗み、さらにジーンらを離反させることに成功! 更にはクワナスのラボ破壊にも成功、ジーンらを三聖勇さんせいゆうとして祭りあげ、ルーディアの隠れ蓑としてリルファドゥル教団を創立! 神兵技術の独自改良に着手したよね!


 もちろんクワナスもそれをだまって見過ごすわけにはいかない! ヴォルガルグ、ティスティニーを頂点とした魔兵まへい軍団を作成、組織! 配下には四元大魔しげんだいま十二魔神将じゅうにましんしょうがいたよね! えっ十二魔神将は全員思い出せない? 四元大魔、風のベリゼモス、土のイアトスラグ、水のエルキュイア、火のグレナバスは思い出せるけど? そんなぁ、かわいそうだよ!


 対するルーディア、教団神官長の娘シナイアに技術の粋を注ぎ込んだ! その能力は娘のルア、孫のフューナに至るごとに高まっていく! ところで全然関係ないけどこの辺のネタ思い付いたのってロマサガ2発売直後だったよね! 俺くん、わっかりやすぅーい!


 第三の勢力、ジュメルは、両勢力に対してつかず離れずの態度を取ってたんだよね! うまく戦局をコントロールし、ヴォルガルグとフューナがぶつかり合うよう仕向けた! 最終決戦にて出力される膨大な神力と魔力! そいつを丸ごと頂くのが狙いだったわけだ! 作戦は見事成功、ジュメルは旗下の破壊神はかいしん、ダーゾウム、ドゥルク、ダルグ、ヴァイツァーを率いてルーディアおよびクワナスを破壊! 一気に覇を唱えた!


 びっくりしたのはヴァノルだ! 三体を好きにさせていたのは、最終的な制御権を自らが握っていたから! 三体をうまく戦わせ、生み出される技術を元手に覇を唱える、はずだった! けどこのときジュメルは完全に制御の外! これはまずいとヴァノル、最終手段に出るよ! 勇人たち五人のコールドスリープを解いたんだ! 特に勇人は、ジュメルを無効化する権能を備えてる! ここから始まる戦いでジュメルを倒すことは叶った! ただしここまでの戦いで培われた技術はほぼ三体のスーパーコンピュータの存在あらばこそ! 残された人類はその残滓しか扱うことが許されなくなったよ!


 ヴァノルはほぼ更地となった世界に新たな秩序をもたらし、その黒幕として君臨した! その目的は、残された技術力の集成! 更にはそこから時代のスーパーコンピュータを生み出し、世界に最終的な破壊をもたらすこと!


 しかしこの目論見は僅かに残されていたジュメルらの力が集積された少年、スレッジの手によって破砕され、物語は幕を閉じるんだよね!


「ふぎっ……ひっぎ……」


 いやー、壮大というか、正直荒唐無稽だよねwww好きなもののごった煮、計画性のない増改築、迷走するストーリーの主題と、そりゃオーバーフローも起こるし、まとまりませんよこんな話www


「む゛ー!!! ん゛む゛ーー!!!」


 ――ただ、こっからマジ話なんだけど。


 正直この話って、まぁ実際に作ろうとしても崩壊するだけだったと思う。その意味で捨てたのは正解だし、莫大なサンクコストも抱えずに済んだ。いいことだったと思うよ。


 あと、いまの俺くんがいまのスキルを手に入れられたのだって、間違いなく彼らとの日々によって育まれたもの。彼らにも生まれた意義は、あった。


 けど事実として残るのは、俺くんが学生時代に全く物語を生み出せないまま終わった、ってことだ。


 俺くん、速く書けるくちじゃないよね? けど長編は書きたい。なら、この先に書ける長編の数も、決して多くはならない。そしたら、これ以上彼らみたいな犠牲を出すわけにはいかないよね。


 巡り合う、一つ一つの物語。俺くんには、そいつらを大事にしてってほしいと思うのさ。


 おっと、話が長くなっちゃた。ごめんね! 俺くんが良いストーリーテリング人生を送れるよう祈ってるよ、じゃねっ!


「(返事がない。ただの屍のようだ。)」

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