タンポポの綿毛

読天文之

第1話公園で・・・

四月のある日、ぼくは一人で夕日が照らす町の中を歩いていた。

小学六年生になって、一週間が過ぎた。元々友だちを作ることが苦手なぼくは、いつも一人で家へ帰っていた。

しかもぼくの一人はまだまだ続く、ぼくの母さんは仕事で帰ってくるのが夜なのだ。

「はぁ、ぼくの毎日こうなのかな・・・」

ずっと続く日々にぼくは飽きてきた、そして何も変わらない世界がつまんなくなっていた。

そしてふと公園に立ち寄った時、ぼくはとてもきれいなものを見つけたんだ・・・。

タンポポの綿毛を、フーッと吹き飛ばしている一人の少女。年はぼくと同じくらいだ。

白い髪が風に揺れて、タンポポの綿毛と一緒に舞うその光景は、ぼくの心に強く残るものだった。

ぼくは声をかけたくなった・・・、すごく緊張するぼくは、呼びかける声がかすかになっていた。

「あの、何をしているのですか!」

ぼくが思いきって声をかけると、少女はこちらを振り向いた。

「ん?あなたはだれですか?」

「ぼくは真歩、あなたの名前は?」

「あたしはワタコ、よろしくね。」

ワタコはほほえんだ、ぼくの胸に今まで感じたことのない気持ちがわき上がってきた。

暖かくて、優しくて、甘い気持ち。この気持ちでずっといたいと思った。

こうしてぼくの初恋が始まったんだ。


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