送り梅雨

藤泉都理

啼泣






 俺は泣いた。

 梅雨時に似つかわしくない篠突く雨の中。

 泥臭い雨が目に入ろうが、口に入ろうが構うことなく。

 ただただ黒い空を見上げて、泣き続けた。






 もうあの頃の俺には戻れない。

 

 両親を安心させてやりたくて幽霊の花嫁を探していたあの頃の俺には。










(2022.6.7)


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