作戦タイムは30秒
ましさかはぶ子
2023/11/19 2007/01/16に書いた文章
2007年1月16日
妊娠八ヶ月
私は今妊娠八ヶ月だ。
第二子だが上の子は今年高校受験の十五歳で、私自身は四十二歳だ。
突然の思わぬ妊娠で正直なところ発覚した時は
一体どうしたら良いのか分からなかったが、
色々考えた末に産む事にした。
元々私は妊娠しにくい性質らしい。
上の子も不妊治療をして難産の末に授かった子だ。
そして次の子はと周りから言われていたが、
そのまま十五年も経って妊娠するとは。
妊娠が分かった頃、私はつわりがひどく
勤めていた仕事もきつかったせいか、職場で切迫流産で出血してしまった。
上の子の時は妊娠中は全くトラブルはなく、
今度の妊娠では体調は良くなかったがその過信があったのだろう、
無理をし過ぎたらしい。
結局二週間入院する羽目となり、
体力的に仕事を続けるのは無理だと判断し、辞める事となった。
その頃私は色々と考えていた。
四十歳も過ぎた今、そろそろ老後に備えて色々と蓄えなくてはいけない。
そして子供の高校受験に向けてお金も必要だ。
パソコンだってもう古い。新しいのが欲しい、
などとそれなりに計画を立てていたがそれも全ておじゃんだ。
しかし、入院までしながら私はなぜか十五年ぶりの妊娠が
どうしても信じられずにいた。
超音波でお腹を見れば確かに子供はいる。
検診の度に確実に大きくなっている。
目の前に子供がありながらなぜか幻に思えて仕方が無かった。
だが、少しずつお腹が出てくると胎動を頻繁に感じるようになった。
体の奥から軽く突き上げるような動きがある。
自分の内臓とは違うその動きは明らかに異質だった。
そしてお腹の中の子の動きは十五年前の妊娠の時とは
比べ物にならないほど激しかったのだ。
私にとってこの妊娠はしばらく絵空事のようだったが、
四六時中ぼこぼこと突き上げる動きがあれば
さすがに子供の存在をはっきりと感じた。
その動きはまるで現実を信じない私に
知らしめるためのメッセージのようで、いつも強く激しい。
その言葉ではないメッセージはこの子の生命力の強さのようだった。
切迫流産で焦って病院に駆け込んだ時に見せてもらった
超音波の画面では、この子の心臓が強く動いていた。
先生はそれを見て「心臓がちゃんと動いているよ」と仰った。
今お腹の強い胎動を感じるとその心臓の鼓動を思い出す。
まだほんの何センチしかない体だったのに
この子はちゃんと生きているのだ。
そして疑い深い母に今も体中でメッセージを送る。
ここにいる、と。
◇◇◇ ◇◇◇
大昔のデーターを見ていて発見した文章です。
個人情報バリバリ流出です。
この時お腹にいた子は高校二年生です。
この文をどうしようかなと思ったのですが、
正直本当に大変な妊娠で、
その後も人生上最も辛い時期を過ごしました。
今でも続いていますが。
その寸前のふと書いた文章は捨てるには惜しい気がしてしまって、
結局断捨離出来ない性格であります。
なので自分の記念碑的意味でここに書きました。
よく高齢出産は色々と問題があるなど言われますが、
その人それぞれだと思います。
心配があれば今では色々な検査がありますし、
その上でご夫婦で考える話だと思います。
年配でも若い方でも妊娠のリスクはあります。
そこで起きた問題はまずご夫婦がよく話し合う事です。
周りは聞かれればアドバイスするよと一言あれば
ご夫婦も相談しやすいと思います。
出産後も今では行政も以前とは比べ物にならないぐらい
子育てを助ける仕組みが増えました。
使いましょう。
子育ての助けになる道具もどんどん使いましょう。
私は子どもが小さい時に迷子紐をつけていたら
「犬扱いか。」
と通りがかった男性に言われた事があります。
その時は立っているのもきつい状態でした。
何度も迷子になった子どもです。
今ならお前が面倒見ろよ、と言い返しますが、
その時はそんな気力もないぐらい辛い時でした。
だから今それを付けている子どもがいたら、
この子は走って行っちゃうんだ、大変だと思います。
私は今子育て世代のいわゆる姑年代ですが、
否定する気なんて全くありません。
子育て中の方には大変だけど頑張ってと思います。
人生には色々な事が起こります。
何かあれば家族で助け合って困難を乗り越えて下さい。
必ず笑い合える時は来ます。
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