第11話働かざる者

僕は精神障がい者として、生きて行かねばならない。精神安定剤が切れると発狂してしまうくらいの病気になってしまった。

病名は統合失調症。

ひと昔前は、精神分裂病と呼ばれいた。

この現実を受け入れ一生懸命、闘病しながら再就職先を探していた頃、家族でパンケーキを食べに行った。

障害年金を受給しており、銀行通帳は嫁さんに渡していた。決して少ない金額ではない。

毎日のお小遣いは、500円。

タバコ1箱買っておしまい。

注文したパンケーキが届いた。

すると、僕がパンケーキを食べようとすると、

「羽弦さん、働かざる者食うべからずですよ!ここのパンケーキ代払えるの?払えないでしょ!」

と、義姉が言う。

僕はお金を全て嫁さんに渡しているし、障がい者雇用の難しさを知らないくせに。

僕は、すみませんと謝り美味しくないパンケーキを食べた。余りの残念さに味がしないのだ。

簡単に仕事が見つかって、働けるのであれば、精神障がい者ではないし、ましてや障害年金も受給出来ない。

この義姉を説得するのに、5年かかった。

障害年金を渡している事を知り、病気の酷さを理解したのか、最近は仲が良くなった。

家族さえ、精神障がい者の現状を理解するのに時間がかかるのだから、世の健常者がすぐに理解できるはずがない。

だから、精神病患者は嫌われるのだ。

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