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(怖い、死にたくない、怖い…)



自室のベッドの上で布団にくるまり、ガタガタと一人終末への恐怖に怯える。


世界中で"夢"が確認されてからもう三日が過ぎた。

今日はもう四日目。残されている時間はもう一日しかない。






(なにか、なにか助かる方法は…っ!?)



数少ない友人に助かる方法を相談しても、解決策は見つからなかった。


残る可能性はネットにしかない。



スマホを使い、必死になって何度も何度も検索し、あらゆる掲示板やサイトを調べる。


その中で見つけた、助かる為の方法。



"世界が終わる時、誰か殺していれば助かる"


"滅亡は罪人である人類への神罰である。赦されるには他者を罰しなければならない。"



誰が書いたのかなんて分からない。

そもそもこれが本当に助かる為の方法なのかも分からない。



(誰かを殺せば助かる…?僕は死ななくていい…?)



それでも、一度見つけた恐怖から救われるかもしれないという希望は、頭から離れない。



(でも、人を殺すなんて…。それにもし抵抗されたら僕が殺されちゃうかも…)



死にたくない。怖い。でももし失敗したら…。


ぐるぐると思考は頭の中でまわりつづける。 




どれくらい、悩んでいただろう。

結局、僕は殺すことを決心した。






ベッドから降り、玄関へと向かう。


ポケットには大きめのカッターナイフ。




殺す相手は決めていない。でも、出来れば僕よりも小さい子がいい。

その方が、対抗されずに済むし。



家を出て、近所の公園で殺さそうな子を探す。



けれどどの子も親と一緒だったり友達と一緒で、中々都合の良い子はいない。


ここで探すのを諦めて公園から出ると、ふとかすかに赤ん坊の泣き声が聞こえた。


泣き声は、公園のすぐ隣りにある家から聞こえる。

庭の方へ回り込み、覗いて見ると部屋の中に赤ん坊がいるようだ。

部屋の窓の鍵はかかっていないのが見える。



(赤ん坊なら…、きっと僕でも簡単に殺せるよね…)




この家の夫婦は前に見たことがある。確か夫婦はまだ若かったはずだ。

なら子供が一人くらい死んだって別にいいだろう。




子供なんて、死んだって新しくまた作れるんだし。




庭からそっと忍び込み、窓から家内へ侵入する。


ポケットからカッターを取り出し、ベビーベッドの上で泣いている赤ん坊へ振り下ろす。


赤ん坊が泣き叫んだりしない様に片手で喉を絞めながら何度かカッターを突き刺すと、簡単に殺す事が出来た。



目的も達成し帰ろうとしたその時、背後からドアの開く音がした。


急いで振りかえると、そこにはドアを開いたまま呆然とこちらを見る赤ん坊の母親の姿があった。



見られた。

そう思った次の瞬間には僕の体は動いていた。



事態が飲み込めず呆然としている女に向かって突進し、腹部目掛けて深くカッターの刃を突き刺す。


刺された痛みと衝撃でうずくまったところで、髪を引っ張り床に向かって叩きつける。


倒れ込んだ女の背にのしかかり、無防備な背中へとカッターを振り下ろし続ける。



我に返った時には、辺りには生暖かい血溜まりと鉄臭い香りが広まっていた。




手にはぬるついた、まだ生暖かい血が着いている。







(よかった…。 これで僕は死ななくていいんだ…)





先程までの猛烈な死への恐怖が払拭されていく。

それと同時に、何故か笑いが込み上げてきた。




「アハッ、アッハハハハハハ…!!」



あぁ、よかった!本当によかった!

これでもう大丈夫。もう怖くないんだ!!

これで僕は死な











仮想現実世界"地球"。終了まで残り一日。

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