第304話.グッズとコスプレ
アトラクションをひとしきり楽しんだ後、私達は入口付近に戻ってお土産屋さんを覗いていた。
ここには全てのアトラクションに関連したお土産が揃っているので、もし行っていないアトラクションがあったとしても、関連したグッズなどは購入することが出来る。
当然グッズ以外にお菓子なども売っているので、そのグッズに興味がなくてもある程度は楽しめるのだ。私はなんでも可愛くて飽きないからいいのだけも。
「刻〜」
「ん?」
「このローブ羽織ってみて」
そう言いながら私は先程訪れていた魔法学校のあるエリアの制服を手渡す。刻は頭上にクエスチョンマークを浮かべながら素直に袖を通してくれた。
「これでいいか?」
「うん!」
今まで知らない人がこのローブを着ているのを見た事は何度もあるが、実際に自分の身内が着ているのを見ると少し不思議な感じがする。
変とかではなく普通に似合ってるんだけども。むしろなんでこのローブをここまで着こなせてるの?って位には似合ってるからね。
「じゃあ蒼にはこれでも着てもらうか」
「ん、私も?」
「おう。嫌なら別にいいけど」
少しだけシュンとしながら刻はそう言う。
シュンとされてしまってはこちらも着ないという選択肢は取りにくい。いや、初めから刻のお願いであれば聞くつもりだったので関係はないけれど。
深緑色の布にフードと背中に紋様の入った漫画の中に出てくるローブ。これを着てみるのが、実はちょっとした憧れだったりしたのだ。
思わず叫んでみたくなる。
『ハートを捧げよっ!!』てね。……ハートじゃないって?そこはお口チャックだよ!
「どうかな、似合ってる?」
刻に全身を見せるようにゆっくりとその場で一回転してみせる。回転した際にブワッとマントの部分が煽られて少し驚いた。
「似合ってる。めちゃくちゃ可愛い」
「かっこいいじゃなくて?」
「蒼の場合は可愛いが勝つな。何か余計に守りたくなってくる」
「そ、それは褒め言葉として受け取ってもいいんだよね?だよね!?」
焦りながら聞いてみれば刻は「当然だ」と言って大きく頷いた。
よかった。これでもし褒め言葉でなかったのなら明日の丸一日はベッドで不貞腐れる自信がある。本当はどっちかといえば可愛いよりもかっこいいって言われてみたかったから尚更だ。
まぁ、守りたくなる存在というのはとても稀有なので、そのポジションはありがたくあやかろうとは思いますけど。
そんなことを考えながら私達はまた他のお土産を眺めていた。
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