パンプス
Gさんの家はT市の住宅街にある。
「俺が小さい頃、近所でストーカー殺人が起きたんですよ」
被害者はGさんの向かい側に住む女性だった。
「とても優しいお姉さんで、たまに遊んでくれたりしてました」
加害者もまた近所の男だった。
別れ話で揉めて、と犯人の男の供述が報道されていたが事情を知る親によると付き合ってた事実はなかったという。
一方的に思いを募らせての犯行だったらしい。
「親によると現場には被害者が履いてたであろう白いパンプスが残されていたそうです」
犯人の男は全く反省していない様子だったが、10年ちょっとで出てこれる判決が出た。
その頃、不気味な噂が立つようになってた。
Gさんの近所で男性が夜遅くに歩いていると、白いパンプスだけが近寄ってくるという。
「怖かったんで極力夜は歩きませんでしたね。たぶんパンプスはお姉さんの霊で親は犯人を探してるんじゃないかって言ってました」
では今も?と聞くと
「最近いなくなったんです」
なんでも犯人の男がノコノコと近所に戻ってきていたらしい。
男の家族は事件直後に引っ越していなくなってた。
「何考えてんでしょうね?俺、犯人の顔知ってたんですけど平然としてましたよ」
近所中の噂になっていたある日。
「夜中に男の声ですごい叫び声が聞こえたんですよ。でも表を見ても誰もいなくて」
それ以降男を見かけなくなった。
「親が近所の人に聞いたら失踪したらしいんですよ。どうも俺が叫び声を聞いた日ぐらいからみたいですね」
男の行方は杳として知れない。
完
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