異世界でも勉強って、ツラくね? ~剣と魔法のファンタジー世界に転移しましたが強くなるには勉強が必要なようです~

ウミウシは良いぞ

第1話 プロローグ

 魔道院某研究室



「それでは次元間術式を用いた異世界への干渉実験を行いたい。長い時間がかかったがようやく設備と方陣、詠唱方法が完成した。これで異世界の情報が手に入る。この成果でこの国を更に平和に、豊かにできる。皆の者、ここまでよく頑張ってくれた。これが終わったら秘蔵のワインを開け皆で宴をしよう」


 助手たちから歓声があがる。


 しばらくして静かになったあ男が魔方陣に手を翳し遂に詠唱を始める。


 全員の気が張り詰める。



「星々の煌めきは楔を破り、煙を吐く鏡は、異世界への門を開かん!」



 すると部屋は玉虫色に煌めき、魔方陣は白く輝く。


 紫電が迸り、轟音が鳴り響き窓ガラスが震える。



 男とその助手達は余りの光量に目を細める。



「不味い。失敗だ!!」



 本来このような現象は起こらない筈、魔術師の男は焦りながら魔力の供給を止める。



 音が鳴り止み、男らの視界が戻るとそこには血だらけの男が倒れこんでいた。



 危険ではないかを確かめるため魔術師が意を決して近づく。



 血濡れの男は意識を失っている。



 顔立ちと服装から少なくともこの国のものではないと確信した。




「すぐに医療術式を使えるもの、いや王女様を呼んでこい!!この者は恐らく異世界人だ。この者を使えばこの国の為になるかもしれない。急げ!」





 ――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 王女

 国王あるいは国王と同様の君主の娘の呼称。

 アスタルテ王国の王族の女性は伝統的に王の怪我や病気を治せるよう回復術式に長けている。

 本文中で称される王女は歴代でも最も優秀な回復術式を使える。

 その特異性は後に紹介する魔道院の人間でも敵わないとも言われている。

 噂によると死者の蘇生まで出来るという

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